一陣ひとしきり)” の例文
一陣ひとしきり風が吹くと、姿も店も吹き消されそうであわれ光景ありさま。浮世の影絵が鬼の手の機関からくりで、月なき辻へ映るのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一陣ひとしきり大きな雪片せっぺんが風にあおられてたんぼの方から走って来た、立っている自分の胸はたちまち白壁のように真白になった。たださいわいに大きな吹雪はこれりで後は少し晴間となった。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かぜ一陣ひとしきりでて、ふね動搖どうえうやゝはげしくなりぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一陣ひとしきり夜嵐が空を渡った。星は身慄みぶるいした。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)