“はたき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
払塵27.3%
22.7%
塵払9.1%
拂塵9.1%
紙箒9.1%
塵掃4.5%
4.5%
掃塵4.5%
浴箒4.5%
4.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
箒と払塵はたき雑巾ぞうきんとを持った女中が、慌てて駈けてきた。周平は長く廊下に待たせられた。掃除がすんで室にはいったが、先刻の黴臭い匂いが鼻についていた。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
はたきを持つやら、ほうきやら、団扇うちわかざしているものやら、どこにすきがあって立ち込んだか、うぐいすがお居間の中に、あれあれという。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其と見た奥様は飛んで出て、吾子が旅からでも帰つて来たかのやうに喜んだ。人々も出て迎へた。下女の袈裟治けさぢ塵払はたきを取出して、背中に附いた雪を払つて呉れる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「八番さんにお客樣だよ。一寸伺つておいで」其聲が止んだと思ふ間も無く、何處かの部屋で勇しい拂塵はたきの音が聞えるのはもう文太郎が其部屋の掃除に行つたものらしかつた。
そして、紙箒はたきを持つて兄の机の上の埃を拂ひながら、書物の間に插んである洋紙をのぞいて、まづい手蹟で根氣よく英字を書き留めてゐるのに、感心もし、冷笑を浮べもした。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
たしかに蕪村の声に相違ないので、慶作は不審しながら、入つてくと、其辺そこらぢゆうにはうき塵掃はたきがごた/\取り散らされて、師匠はひとりで窃々くす/\笑つてゐる。
しまか、みつか、はたきけて——おちよ、いゝえう/\……矢張やつぱりこれは、はなしなかで、わに片足かたあし食切くひきられたと土人どじんか。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
帰りしな、林檎りんごはよくよくふきんでいてつやを出すこと、水密桃すいみつとうには手を触れぬこと、果物はほこりをきらうゆえ始終掃塵はたきをかけることなど念押して行った。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
すぐそのあとから竈へ這い込んで、白樺の浴箒はたき〔(これで皮膚を叩いて発汗を十分にするのが蒸風呂の慣わしである)
グーセフ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うむ、はたきふかくなくつちや收穫んねえものよそら、らあさかりころにや此間こねえだのやうにあさうなあもんだたあねえのがんだから、現在いまぢやはあ、悉皆みんな利口りこうんなつてつかららがにやわかんねえが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)