“ぬかるみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
泥濘93.6%
泥海0.7%
水潦0.7%
泥土0.7%
泥淖0.7%
泥濘路0.7%
泥路0.7%
泥途0.7%
濘海0.7%
行潦0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
泥濘ぬかるみ捏返こねかへしたのが、のまゝからいて、うみ荒磯あらいそつたところに、硫黄ゆわうこしけて、暑苦あつくるしいくろかたちしやがんでるんですが。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泥海ぬかるみに落つる星の影は、影ながらかわらよりもあざやかに、見るものの胸にきらめく。閃く影におど善男子ぜんなんし善女子ぜんにょしは家をむなしゅうしてイルミネーションに集まる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なぞの女は自分の思う事をひとに云わせる。手をくだしては落度になる。向うですべって転ぶのをおとなしく待っている。ただ滑るような泥海ぬかるみを知らぬに用意するばかりである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蝸牛かたつむりひまはる泥土ぬかるみ
我駒の行くところは、古かなもの、古畫をひさ露肆ほしみせの間にて、目も當てられずけがれたる泥淖ぬかるみうちにぞありける。
髮は二寸も延びて、さながら丹波栗のいが泥濘路ぬかるみにころがしたやう。目は? 成程獨眼龍だ。然しヲートルローで失つたのでは無論ない。恐らく生來うまれつきであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
泥路ぬかるみに立った裸足の三人は、じいっと久松留守の四字を白眼にらんで動かなかった。
或長屋の角に立って、磐を鳴らして、霙混りの泥途ぬかるみの中に立って、やはり眼をつぶって経を唱えていた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
すると足が土とれ擦れになるまで車が濘海ぬかるみに沈んで来た。番頭は余の頭の上にあるごとく感ぜられた。余はたまらなくなって、泥の中へ飛び下りた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから戸口へ廻る時、実際行潦ぬかるみへ左の足を腓腸ふくらはぎまで蹈み込んだ。靴に一ぱい水が這入つた。女は今かも一枚で覆つてあるベンチのやうな寝台ねだいに腰を掛けて、靴を脱ぎ始めた。