“とく/\”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
疾々50.0%
得々50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
右の手に持あらはれ出たる一人のをんな行先ゆくさき立塞たちふさがおのれ大惡だいあく無道ぶだうの吾助大恩有る主人と知りながら兄君あにぎみがいし岡山を立退のきし事定めて覺え有べし今爰にあひしは天のたまもの疾々とく/\勝負しようぶ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よめになんどおもひもらぬことなりことばかはすもいまはしきに疾々とく/\かへらずやおかへりなされエヽなにをうぢ/\老婆ばあさま其處そこめなさいとことばづかひも荒々あら/\しくいかりの面色めんしよくすさまじきを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思ひ我が亡跡なきあととふらくれよ此外に頼み置事おくことなし汝にひしも因縁いんえんならん疾々とく/\見付られぬうち歸るべし/\我はいま仕殘しのこしたる事ありと云ひつゝまた引窓ひきまどよりずる/\と這入はひ質物しちもつ二十餘品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
願奉ると叮嚀ていねいに述ければ圍爐裡ゐろりはたに年頃卅六七とも見ゆる男の半面はんめん青髭あをひげはえ骨柄こつがらのみいやしからざるが火にあたりて居たりしが夫はさだめし難澁なんじふならん疾々とく/\此方こなたあがり給へ併し空腹くふふくとあればすぐに火にあたるよろしからず先々臺所だいどころへ行て食事しよくじいたし其火のへんより玉へといと慇懃ねんごろに申けるに吉兵衞は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
己の耳には、メリー嬢の得々とく/\として語る説明の言葉も、黒ん坊の無礼極まる冗談も、見物人の哄笑こうしょうも、残らず聞えて居る。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
けれど其古風な門は依然たる昔のまゝで、自分は小倉こくら古袴ふるばかまの短いのを着、肩をいからして、得々とく/\として其門に入つて行つたと思ふと、言ふに言はれぬなつかしい心地がして
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)