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疾々
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とく/\
右の手に持
顯れ出たる一人の
女行先に
立塞り
汝大惡無道の吾助大恩有る主人と知りながら
兄君を
害し岡山を立
退し事定めて覺え有べし今爰に
逢しは天の
賜もの
疾々勝負を
嫁になんど
思ひも
寄らぬことなり
詞かはすも
忌はしきに
疾々歸らずやお
歸りなされエヽ
何をうぢ/\
老婆さま
其處を
閉めなさいと
詞づかひも
荒々しく
怒りの
面色すさまじきを
思ひ我が
亡跡を
弔ひ
呉よ此外に頼み
置事なし汝に
逢ひしも
因縁ならん
疾々見付られぬ
中歸るべし/\我は
未だ
仕殘したる事ありと云ひつゝ
又引窓よりずる/\と
這入り
質物二十餘品を
願奉ると
叮嚀に述ければ
圍爐裡の
端に年頃卅六七とも見ゆる男の
半面に
青髭生骨柄は
然のみ
賤しからざるが火に
煖りて居たりしが夫は
定めし
難澁ならん
疾々此方へ
上り給へ併し
空腹とあれば
直に火に
煖は
宜からず先々
臺所へ行て
食事いたし其
後火の
邊へ
依玉へと
最慇懃に申けるに吉兵衞は