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てうない
田舍物いなか
者と
町内の
娘どもに
笑はれしを
口惜しがりて、三
日三
夜泣きつゞけし
事も
有しが、
今は
我れより
人々を
嘲りて、
野暮な
姿と
打つけの
惡まれ
口を、
言ひ
返すものも
無く
成りぬ。
町内で
顏の
好いのは
花屋のお六さんに、
水菓子やの
喜いさん、
夫れよりも、
夫れよりもずんと
好いはお
前の
隣に
据つてお
出なさるのなれど、
正太さんはまあ
誰れにしようと
極めてあるえ
少し
御新造は
機嫌かいなれど、
目色顏色を
呑みこんで
仕舞へば
大した
事もなく、
結句おだてに
乘る
質なれば、
御前の
出樣一つで
半襟半がけ
前垂の
紐にも
事は
欠くまじ、
御身代は
町内第一にて