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しろ/″\
頬のかゝり
白々と、
中にも、
圓髷に
結つた
其の
細面の
氣高く
品の
可い
女性の、
縺れた
鬢の
露ばかり、
面窶れした
横顏を、
瞬きもしない
雙の
瞳に
宿した
途端に、スーと
下りて、
板の
間で
暑さに一
枚しめ
殘した
表二階の
雨戸の
隙間から
覗くと、
大空ばかりは
雲が
走つて、
白々と、
音のない
波かと
寄せて、
通りを
一ツ
隔てた、
向うの
邸の
板塀越に、
裏葉の
飜つて
早や
秋の
見ゆる
處が
旦那樣、
別嬪さんが、
然うやつて、
手足も
白々と
座敷の
中に
涼んで
居なさいます、
其の
周圍を、ぐる/\と……
床の
間から
次の
室の
簀戸の
方、
裏から
表二階の
方と、
横肥りにふとつた