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ざつさう
町立病院の
庭の
内、
牛蒡、
蕁草、
野麻などの
簇り
茂つてる
邊に、
小やかなる
別室の一
棟がある。
屋根のブリキ
板は
錆びて、
烟突は
半破れ、
玄關の
階段は
紛堊が
剥がれて、
朽ちて、
雜草さへのび/\と。
此の
時凡ての
樹木やそれから
冬季の
間にはぐつたりと
地に
附いて
居た
凡ての
雜草が
爪立して
只空へ/\と
暖かな
光を
求めて
止まぬ。
土がそれを
凝然と
曳きとめて
放さない。
丈より
高い一
面の
雑草の
中に、
三本、
五本また
七本、
淡い
紫の
露の
流るゝばかり、
且飛ぶ
処に、
茎の
高い
見事な
桔梗が、——まことに、
桔梗色に
咲いたのであつた。
岬の
雑草と雲のあざやかさ
汽笛太く吼えて挨拶す
汽船は