どう)” の例文
若い衆は顏を見合はせて困つた樣子をしたが、「よし/\、連れていたるさかい、早う拔いて來い。」と、言ふと、皆々それにどうじて
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しばらくしてあをけむり滿ちたいへうちにはしんらぬランプがるされて、いたには一どうぞろつと胡坐あぐらいてまるかたちづくられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのさまれに遠慮ゑんりよらず、やなときやといふがよし、れを他人たにんをとこおもはず母樣はヽさまどうやうあまたまへとやさしくなぐさめて日毎ひごとかよへば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どう大動搖だいどうえうはじめた。はやなかたいからである。けれどもなが密閉みつぺいせられてある岩窟がんくつ内部ないぶには、惡瓦斯あくぐわす發生はつせいしてるに相違さうゐない。
金解禁きんかいきん我國わがくに輸出貿易ゆしゆつぼうえきにどんな影響えいきやうあたへるかとふと爲替相場かはせさうば下落げらくする道程だうていおいては日本品にほんひん賣値うりねどう一であつてもこれを
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
始め一どう下られけり其後そのご大岡殿は何れ昌次郎夫婦ふうふの者外へは參るまじ江戸おもてならんと定廻りの與力同心へ急々たづね申べしと内命ないめい有りしとぞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
検疫船けんえきせん検疫医けんえきいむ。一とう船客せんかくどう大食堂だいしよくだうあつめられて、事務長じむちやうへんところにアクセントをつけて船客せんかくげる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
と、さきに、くちをきったので、一どうは、にぎやかな、わらいごえこえる托児所たくじしょのほうを、ふりかえりながら、ちさりました。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えうするに世間せけんいま固有名こゆうめいなるものゝ意味いみ了解れうかいしてをらぬのであらう。固有名こゆうめい普通名ふつうめいどう程度ていどてゐるのであらう。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
中番頭ちゅうばんとうから小僧達こぞうたちまで、一どうかおが一せいまつろうほうなおった。が、徳太郎とくたろう暖簾口のれんぐちから見世みせほうにらみつけたまま、返事へんじもしなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
酒肴しゅこうが出ると座がみだれて、肝腎の相談が出来ないというので一どう素面すめんである。ズラリと大広間に居流れて評定ひょうじょうの最中だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
どう今日きょう船出ふなで寿ことほったのもほんのつか、やや一ばかりもおかはなれたとおぼしきころから、天候てんこうにわかに不穏ふおん模様もようかわってしまいました。
『え、え、え。』と、はじめて此事このこと氣付きづいた吾等われらどうは、ほとん卒倒そつたうするばかりにおどろいた。大佐たいさふか嘆息ためいきもらして
太祖の病は洪武三十一年五月に起りて、どううるう五月西宮せいきゅうに崩ず。その遺詔こそは感ずべく考うべきこと多けれ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
倉地もつとめて葉子の立ち直った気分にどうじているらしかった。それが葉子をいっそう快活にした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
十時じふじ出發しゆつぱつどう五十五分ごじふごふん電鐵でんてつにて小田原をだはらかへり、腕車わんしややとうて熱海あたみむかふ、みち山越やまご七里しちりなり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからふたゝみんながあつまつたときに、ドードてうおごそかに指環ゆびわしめして、『吾輩わがはいこの優美いうびなる指環ゆびわ諸君しよくん受納じゆなふせられんことをのぞむ』このみじか演説えんぜつむと一どう拍手喝采はくしゆかつさいしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのころ、それが賭博とばくとのうたがひをけて、ばんどうがそのすぢから調しらべをけるやうな事件じけんあがつたが、調しらべるがはがその技法ぎはふらないのでだれかが滔滔たうたう講釋かうしやくをはじめ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
其時そのときあつまツてツた、一どうものよろこびはくらいりましたか、商家抔せうかなどではおうおわし取扱とりあつかつてるから、醫者いしやぶもはぬとようときは、實驗上じつけんぜう隨分ずいぶんもちひて宜敷よろしほうようぞんじます。
し、諸君しよくんにして中江兆民なかえてうみん先生せんせいどうしゆであつて、十八零圍氣れいゐき振舞ふりまはして滿足まんぞくしてるならば、諸君しよくんなん權威けんゐあつて、『はるみじかなに不滅ふめついのちぞと』云々うん/\うたひと自由じいう干渉かんせふるぞ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「ほんとに、そうはれてみると、そうだ」一どうくちそろえていひました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
多分たぶんS、H夫人ふじんが、ホテルでS、HとT連中れんちう待合まちあわせることになつてゐたのでもあらうがM、H夫妻ふさい其処そこ宿泊しゆくはくしてゐたために、一どうらずらずホテルへることになつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
と、どうじあって、知らず知らず、気負きおい立った一決を見たにちがいない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夢みつつちりどうじてまどはざる
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
どうかたづけながらはひる。
村落むらはしからはしまでみなどう一の仕事しごと屈託くつたくしてるのだから季節きせつ假令たとひ自分じぶんわすれたとしてもまつたわすることの出來できるものではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひしがるゝともおぼ無事なきことは申上難く候と言ひつのるにぞ然ば猶後日の調べと再度さいどどうさげられ長庵三次の兩人は又も獄屋ごくやへ引れける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、先生せんせいはいって、また一どうをじろじろとまわしました。長吉ちょうきちこころのうちでどうか自分じぶんはのがれてくれればいいがと、くびをすくめていました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
發掘はつくつ結果けつくわ依然いぜんとして多量たりやう彌生式土器破片やよひしきどきはへんおよどう徳利形とくりがた上半部じやうはんぶを(水谷氏みづたにし、二望蜀生ばうしよくせい、三掘出ほりだした。
姿なりこそ嶋田しまだ大人をとなづくらせたれどしようところ人形にんぎやうだいてあそびたきほどの嬰兒ねヽさまがにはかにおちしたさるどうやう、なみだのほかになんかんがへもなくおたみ老婢はしためそでにすがつて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このはなしは一どういちじるしき感動かんどうあたへました。なかには遁出にげだしたとりさへあり、年老としとつた一かさゝぎ用心深ようじんぶかくも身仕舞みじまひして、『うちかへらう、夜露よつゆ咽喉のどどくだ!』としました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そんな軽口かるくちをきかれて、御自身ごじしんはいつもとどう一の白衣びゃくいしろ頭巾ずきんをかぶり、そしてながながい一ぽんつえち、素足すあし白鼻緒しろはなお藁草履わらぞうり穿いてわたくしきにたれたのでした。
すると突然とつぜん、はッはッはと、はらそこからしぼしたようなわらごえが、一どう耳許みみもとった
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
また反對はんたい爲替相場かはせさうば騰貴とうき道程だうていにある場合ばあひには日本品にほんひん賣値うりねげずにどう一としておくには輸入國ゆにふこく貨幣買値くわへいかひね段々だん/\引上ひきあげてたかはすことになるのであるから商賣しやうばいがしにくくなることは事實じじつである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
どうそろうてはひる。
然程さるほどに大岡越前守殿には段右衞門前名ぜんみやう畔倉重四郎一けんに付享保きやうほ十一年十二月みぎかゝり合の者共一どう白洲しらすよび出され夫々それ/″\に其罪科ざいくわを申渡されける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「どうせよ一つにやれぬを、わかれたいとはおもへども……」と一どうみゝひゞいたときた/\」としづまつて群集ぐんしふなかからこゑはつせられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
水谷氏みづたにしも、おもはずらずあなから飛上とびあがつた。焚火連たきびれんはしつてた。一どう公爵穴こうしやくあなのぞいてると、なるほどる。
ついこのあいだまでこえていた、あぶらぜみのこえがしなくなったとおもうと、あきがきました。そして、今日きょうは、一どうちにった遠足えんそくであります。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どう視線しせんが、春重はるしげうえあつまっているひまに、おせんははやくもつき下影したかげかくした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わがきみをはじめ、一どうはしきりに舟子達かこたちはげまして、くる風浪ふうろうたたかいましたが、やがてりょうにんなみまれ、残余のこりちからつきて船底ふなぞこたおれ、ふねはいつくつがえるかわからなくなりました。
これが荷物にもつるもあり、御懇命ごこんめいうけまするお出入でいり人々ひと/″\手傳てつだひ手傳てつだひとて五月蠅うるさきをなかばことはりてあつまりしひとだけにかめのぞきのぬぐひ、それ、とつてたまへば、一どう打冠うちかぶ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『それはきはめて必要ひつえうことだ』と王樣わうさま陪審官ばいしんくわんどうかへりみてまをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
けれど、一どうは、そんなことにめるものもありません。熱心ねっしんに、こまのうなりに、ひとみをすえていました。
こま (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごみと一しよあななかちてたのを、博士はかせたはむれに取出とりだされたので、これは一ぱい頂戴てうだいしたと、一どうクツ/\わらひ。
樂隱居らくいんきよなされたきおのぞみのよし、これしかるべきこと御親類ごしんるいどう御决義ごけつぎわたくし初手しよてから貴君樣あなたさま東京とうけうへおし申すははぬほどにて、申しては失禮しつれいなれどいさゝかの學問がくもんなどうでもこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
悪業あくごう衆生しゅじょうどう利益りやく
また、なつ野原のはらた、しろ大男おおおとこというのも、おそらくどう一の現象げんしょうで、くものようなものではなかろうかといって、なんでもなく、それを解決かいけつしていました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一先ひとまづ一どうは、地主ぢぬしの一にんたる秋山廣吉氏あきやまひろきちしたくき、其所そこから徒歩とほで、瓢簟山ひようたんやまつてると、やま周圍しうゐ鐵條網てつでうもうり、警官けいくわん餘名よめい嚴重げんぢゆう警戒けいかいして、徽章きしやうなきもの出入しゆつにふきんじてある。
もすがら枕近まくらちかくにありて悄然しよんぼりとせし老人としより二人ふたりおもやう、何處どこやら寢顏ねがほところのあるやうなるは、此娘このむすめもし父母ちゝはゝにてはなきか、のそゝくさをとこはじめとして女中ぢよちゆうども一どう旦那樣だんなさま御新造樣ごしんぞさまへば
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)