はつ)” の例文
旧字:
と、とばりの蔭から怒った声がして、それと共に十常侍十名の者が躍り出した。みなはつを逆立て、まなじりをあげながら、張均へ迫った。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
提宇子でうすのいわく、DSでうす は「すひりつあるすすたんしや」とて、無色無形の実体にて、かんはつを入れず、天地いつくにも充満してましませども
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その恭順をもってもっぱら京都にくだるの意であるとなし、怒気はつき、双眼には血涙をそそぎ、すすり泣いて、「慶喜るべし、社稷しゃしょく立つべし」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
富士男はドノバンの腕をぐっとつかむやいなや、右にひきよせて岩石がんせきがえしに大地にたたきつけた。それはじつにかんはつをいれざる一せつなの早わざである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
また誹謗と弁駁べんばくとその間にはつるべからず。他人に曲をうるものを誹謗と言い、他人の惑いを解きてわが真理と思うところを弁ずるものを弁駁と名づく。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ソノ俗一変シテ文行ニ篤キ者、玉岡翁ニ始マル。翁いみな謙。あざな子謙。別号笠翁。江都ノ人。姓ハ森氏。壮歳詩ヲ善クシ兼テ書画ニたくみナリ。官ヲはつヲ削リ南総ニ客遊ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
はつの如き道や、巧にった生木いきぎの屋根や、10165
「いや、てまえの気持では、みずから首をね離し、一死をもって示したい程であります。この忠胆、この誠心、天も照覧あれ。……はつを捧げてお誓い奉りまする」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土芳とはういふ、翁いはく、学ぶ事は常にあり。席に臨んで文台と我とかんはつを入れず。思ふことすみやかいひいでて、ここいたりてまよふ念なし。文台引おろせば即反故ほごなりときびしく示さるることばもあり。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
われはついまだ白からず。しかも既にわれながら老いたりと感ずること昨日今日のことにはあらず。父をうしなひてその一週忌も過ぎける翌年よくねんの夏の初、突然烈しき痢病りびょうに冒され半月あまり枕につきぬ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
乱離骨灰らりこつぱひになつたのと、「あんちおきや」の同勢が鯨波ときの声を轟かいて、帝の御輦ぎよれんを中にとりこめ、雪崩なだれの如く攻めかかつたのとが、かんはつをも入れまじい、殆ど同時の働きぢや。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「稀代な曲者くせものめ。この曹休をあざむくため、おのれはつまで切って謀略の具に用いたか……ウウム何の、たとい計るとて何ほどのことやあるべき。張普ちょうふ、麓に見える呉兵どもを蹴ちらして来い」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はつささ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)