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駛
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は
ふりがな文庫
“
駛
(
は
)” の例文
法華寺で思わず長座をしたので、われわれはまたあわてて車を西に
駛
(
は
)
せた。法華寺村を離れると道は昔の宮城のなかにはいる。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
わが本隊の五艦は今や全速力をもって敵の周囲を
駛
(
は
)
せつつ、幾回かめぐりては乱射し、めぐりては乱射す。砲弾は雨のごとく二艦に注ぎぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
其身斗満の下流に住みながら、翁の
雄心
(
ゆうしん
)
はとくの昔キトウスの山を西に越えて、
開闢
(
かいびゃく
)
以来人間を知らぬ原始的大寂寞境の征服に
駛
(
は
)
せて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
されどとかくする中、さしもの雷雨もいささか勢弱りければ、夜に入らぬ中にとてまた車を
駛
(
は
)
せ、秩父橋といえるをわたる。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ここ一時間を無事に保たば、
安危
(
あんき
)
の間を
駛
(
は
)
する
観音丸
(
かんのんまる
)
は、
恙
(
つつが
)
なく直江津に
着
(
ちゃく
)
すべきなり。
渠
(
かれ
)
はその全力を尽して浪を
截
(
き
)
りぬ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
久振の日和で近くの港から出た上り下りの帆前船が一面に夕映のした海を
駛
(
は
)
せて居た。湿つた風が海面から吹き上げて来て後の松林の中に消えた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
明けがたはたいがい、屋根のうえや家の側面を上がりさがりして
駛
(
は
)
せまわる赤リス(Sciurus Hudsonius)によって目を醒まされた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
車は
駛
(
は
)
せ、景は移り、境は転じ、客は改まれど、貫一は
易
(
かは
)
らざる
他
(
そ
)
の
悒鬱
(
ゆううつ
)
を
抱
(
いだ
)
きて、
遣
(
や
)
る方無き五時間の
独
(
ひとり
)
に
倦
(
う
)
み
憊
(
つか
)
れつつ、始て
西那須野
(
にしなすの
)
の駅に下車せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
苦しそうに救いを求める叫び声が空に充ち充ちて、カンテラを提げた人や、怪我人を抱えた人が右往左往に
駛
(
は
)
せちがっていました。そうして夥しい叫喚と、呻吟と、哀泣。
十時五十分の急行
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
此時遥かの山の陰から此隊商を
目宛
(
めあて
)
として汗馬に鞭をあて乍ら
駛
(
は
)
しって来る一人の男がある。
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
されば駿河湾の暖流
駛
(
は
)
しるところに近い浅間神社のほとり、
檞
(
かしわ
)
や、
榊
(
さかき
)
や、
藪肉桂
(
やぶにっけい
)
などの常緑
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
が繁茂する暖地から、山頂近くチズゴケやハナゴケなど、寒帯の子供なる
苔
(
こけ
)
類が
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
風は帆綱に鳴り、白帆は十分風を
孕
(
はら
)
んだ。船は
閃
(
ひらめ
)
く
飛沫
(
しぶき
)
を飛ばして
駛
(
は
)
せた。
鴎
(
かもめ
)
は鳴いて大空に輪を
描
(
か
)
いた。そうしてあなたは、海の風に髪をなぶらせつつ、
何処
(
どこ
)
までもと、ひた駛せに駛せた。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
駒光
(
くこう
)
何ぞ
駛
(
は
)
するが如きや。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
右に畝傍山・香久山、左に
耳無山
(
みみなしやま
)
、その愛らしい小丘の間を汽車は
駛
(
は
)
せて行く。
古
(
いにしえ
)
の藤原の京、飛鳥の京の旧跡は指呼の間に横たわっていた。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
父は折々後を向いて沖の方を眺めるに違ひない、そして穏かな、日光に光つた海を沖へ/\と
駛
(
は
)
せて行く此の小舟の中の私を思ひやつて居るであらう。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
わが本隊は敵の横陣に対して大いなる弧をえがきつつ、かつ射かつ
駛
(
は
)
せて、一時三十分過ぎにはすでに敵を半周してその右翼を回り、まさに敵の
背後
(
うしろ
)
に
出
(
い
)
でんとす。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
豪徳寺
(
ごうとくじ
)
附近に来ると、自動車は
一
(
ひと
)
かく入れた馬の如く、
決勝点
(
けっしょうてん
)
を眼の前に見る
走者
(
そうしゃ
)
の如く、
宛
(
さ
)
ながら眼を
睜
(
みは
)
り、
呍
(
うん
)
と口を結んで、疾風の如く
駛
(
は
)
せ出した。余は帽子に手を
添
(
そ
)
えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
残念ながら
御
(
お
)
ふるい。
切棄
(
きりす
)
てても思想は
皦々
(
きょうきょう
)
たり。白日の下に駒を
駛
(
は
)
せて、政治は馬上提灯の
覚束
(
おぼつか
)
ないあかりにほくほく
瘠馬
(
やせうま
)
を歩ませて行くというのが古来の通則である。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
虫の音は、花の色は、すべての宇宙の美は、虚無でない、虚無でない「美」の底に悲哀が包まれたるは何の意味であるか。銀座の通りを行く。数十百の電車は石火の一刹那に
駛
(
は
)
せ違う。
霊的本能主義
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
自動車の意志は、さながら余に乗り
移
(
うつ
)
って、
臆病者
(
おくびょうもの
)
も一種の
恍惚
(
エクスタシー
)
に入った。余は次第に
大胆
(
だいたん
)
になった。自動車が余を載せて駈けるではなく、余自身が自動車を駆って
斯
(
か
)
く
駛
(
は
)
せて居るのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わが海軍の精鋭と、敵の海軍の主力と、共に集まりたる彼我の艦隊は、大全速力もて
駛
(
は
)
せ違い入り乱れつつ相たたかう。あたかも二
竜
(
りゅう
)
の長鯨を巻くがごとく黄海の水たぎって一面の
泡
(
あわ
)
となりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
駛
漢検1級
部首:⾺
15画
“駛”を含む語句
駛走
急駛
突駛
奔駛
帆駛
流駛
西駛
駛急
駛流
駛航
駛行