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駈寄
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かけよ
ふりがな文庫
“
駈寄
(
かけよ
)” の例文
『ア、ア、アッ、アッ!』と叫んで
突起
(
つったっ
)
たかと思うと、又
尻餅
(
しりもち
)
を
舂
(
つい
)
て
熟
(
じっ
)
と僕を見た時の顔色! 僕は母が気絶したのかと
喫驚
(
びっくり
)
して
傍
(
そば
)
に
駈寄
(
かけよ
)
りました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
鷺
(
さぎ
)
の森の
稲荷
(
いなり
)
の前から、と、見て、手に薬瓶の紫を提げた、美しい若い娘が、袖の
縞
(
しま
)
を乱して
駈寄
(
かけよ
)
る。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駈寄
(
かけよ
)
った人々が
燭
(
しょく
)
を差上げ、片手を刀の柄にかけて、同じく空を見上げたところで幕になりました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
私は
駈寄
(
かけよ
)
って先生と握手したい衝動にかられたが、
怺
(
こら
)
えて、ていねいにお辞儀をしたとたんに
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
市郎は殆ど夢中で
駈寄
(
かけよ
)
った。消えかかる幾多の松明の火が一時にここへ集められた。
其
(
そ
)
の光に照し出されたる屍体の
有様
(
ありさま
)
は、身の毛も
悚立
(
よだ
)
つばかりに残酷なるものであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
二人は互いに
駈寄
(
かけよ
)
ると、野原の
真中
(
まんなか
)
に
相抱
(
あいいだ
)
いて、しばし美しい師弟愛の
涙
(
なみだ
)
にかきくれた。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
やをら起たんと為るところを、蒲田が力に
胸板
(
むないた
)
を
衝
(
つか
)
れて、
一耐
(
ひとたまり
)
もせず
仰様
(
のけさま
)
に
打僵
(
うちこ
)
けたり。蒲田はこの
隙
(
ひま
)
に彼の
手鞄
(
てかばん
)
を奪ひて、中なる書類を
手信
(
てまかせ
)
に
掴出
(
つかみだ
)
せば、狂気の如く
駈寄
(
かけよ
)
る貫一
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「先生。くしゃみが出なかって。」と君江とは仲の好い春代が
逸早
(
いちはや
)
く
駈寄
(
かけよ
)
って、「あっちのボックスがいいわよ。」と洋服の
袖
(
そで
)
に
縋
(
すが
)
り、人目につかない隅のボックスへ連れて行った。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
兄の
厳勝
(
としかつ
)
の子——兵庫はちょうど何処からか帰って来たところだった。以前とすこしも変らない小柳生城の坂門の外で、今、馬を降りた宗矩のすがたを見ると、驚いて
駈寄
(
かけよ
)
って来た。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舞台では奇術師の一人が
道化
(
ピエロ
)
の側へ
駈寄
(
かけよ
)
った。そしてしどろもどろな声で
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白髪
(
しらが
)
に尊き
燈火
(
ともしび
)
の星、観音、そこにおはします。……
駈寄
(
かけよ
)
って、はっと肩を抱いた。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駈寄
(
かけよ
)
る岸の柳を
潜
(
くぐ
)
りて、水は深きか、宮は
何処
(
いづこ
)
に、と
葎
(
むぐら
)
の露に
踏滑
(
ふみすべ
)
る身を
危
(
あやふ
)
くも
淵
(
ふち
)
に臨めば、
鞺鞳
(
どうとう
)
と
瀉
(
そそ
)
ぐ早瀬の水は、
駭
(
おどろ
)
く
浪
(
なみ
)
の
体
(
たい
)
を
尽
(
つく
)
し、乱るる流の
文
(
ぶん
)
を
捲
(
ま
)
いて、眼下に幾個の怪き
大石
(
たいせき
)
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
敦夫は仰天して
駈寄
(
かけよ
)
った、そして二本めの
燐寸
(
マッチ
)
をすって覗きこんだ。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どうしたんだ。」と、市郎も慌しく
駈寄
(
かけよ
)
って訊ねた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
駈寄
(
かけよ
)
ろうとする伊藤を、
何故
(
なぜ
)
か博士は急に押止めた。
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
駈
漢検準1級
部首:⾺
15画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“駈”で始まる語句
駈
駈出
駈落
駈引
駈込
駈上
駈足
駈下
駈付
駈廻