長居ながゐ)” の例文
私は先づ云つた、「お掛けなさい、リヴァズさん。」ところが、彼は、例の通り、長居ながゐは出來ないとことわつた。「さうですか。」と、心の中で私は答へた——
へば平常つねだてにるべきねがひとてうたがひもなく運平うんぺい點頭うなづきてらばきてくかへれ病人びやうにんところ長居ながゐはせぬものともにはなべなりとれてきなされと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
筆先ふでさき十露盤玉そろばんだまにてかすめ始めしが主人は巨萬きよまんの身代なれば少しの金にはも付ずわづかに二年の内に金子きんす六十兩餘をかすり今は熊本に長居ながゐやくなし近々に此土地を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たないか、こんなところ長居ながゐ無益むえきだ。うした。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたのこり六十兩はおのれものとし是迄に掠取かすめとりし金と合せ見るに今は七百兩餘に成ければ最早もはや長居ながゐは成難しと或日役所やくしよにてわざいさゝかの不調法ぶてうはふを仕出し主人へ申譯立難たちがたしとて書置かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
長居ながゐをして御世話おせわさまにつたは、申わけがありませぬ、いやでらぬ田舍いなかへはかへらねばならず、なさけのあろうとおも貴孃あなたがそのやうにすてゝくだされば、いよ/\なか面白おもしろくないの頂上ちやうじよう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)