釣棹つりざを)” の例文
このくらゐのあめは、たけがさおよぶものかと、半纏はんてんばかりの頬被ほゝかぶりで、釣棹つりざをを、いてしよ、とこしにきめた村男むらをとこが、山笹やまざさ七八尾しちはつぴき銀色ぎんいろ岩魚いはなとほしたのを、得意顏したりがほにぶらげつゝ
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御覽ごらんなさい。釣濟つりすましたたう美人びじんが、釣棹つりざを突離つきはなして、やなぎもやまくら横倒よこだふしにつたがはやいか、おきるがいなや、三にんともに手鞠てまりのやうにげた。が、げるのが、もやむのです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
普請小屋ふしんごやと、花崗石みかげいし門柱もんばしらならべてとびら左右さいうひらいてる、もんうち横手よこて格子かうしまへに、萌黄もえぎつたなかみなみしろいたポンプがすわつて、そのふち釣棹つりざをふごとがぶらりとかゝつてる、まことにものしづかな
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)