とげ)” の例文
不思議なもので一度、良心の力を失なうと今度は反対に積極的に、不正なこと、思いがけぬ大罪たいざいるべく為しとげんと務めるものらしい。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
はいつひに其夜の九ツ時に感應院はあさましき最期さいごをこそとげたりける名主を始め種々しゆ/″\詮議せんぎすれば煤掃すゝはき膳部ぜんぶより外に何にもたべずとの事なりよつて膳部を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
神よ、オオ神よ、日々年々のこの婢女しもめの苦痛を哀れと見そなわし、小児こどもを側に、臨終をとげさせ玉うを謝したてまつる。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
るとお前は中々此の望をとげさせて呉れるやうな女ぢやない、で段々だん/\飽いて來るやうになツたんだ。お前も間尺ましやくに合はんと思ツてゐるだらうが、おれつまらんさ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼の胸中に浮びし救世の大方策は彼大政治家となりて社会改良をとげんとするにありき、彼思えらく、我に世界を統御するの才能あり、我一挙して羅馬人ろまじんを放逐し
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
とげたと云ふのだが実に下だらない事に死んだものだとしか私には思はれない。
ゆくりなくも世をのがれて。自得の門に三宝の引接いんぜうこひねがひしかば。遂に念願成就して。けふ往生の素懐をとげなん。…………またたゞ汝は畜生なれども。国に大功あるをもて。やがて国主の息女むすめを獲たり。
何とせん憐れにも亦いぢらしき有樣よと思ふうち母子おやこの歩みは遲けれど驅ける車の早ければ見顧みかへりても見えずなりぬ此母子このおやこ境界きやうがいはいかならん影の如く是に伴ひて見たしまた成しとげらるゝものならば力を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
とげまでは
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
呼立る時大岡殿せきを進まれ是迄段々吟味をとげし通り最早其方つみに伏したるやと云れしかば憑司は左右さうおそれぬていにて私し悴を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
故郷ふるさとを離れる事が出来ないので、七年という実に面白い気楽な生涯をそこで送り、ごくおだやかに往生をとげる時に、僕をよんで、これからは兼てのぞみの通り、船乗りになってもよいといいました。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
とげの日までは
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
其方共儀長八むすめ身受みうけ相談さうだんの儀は公儀かみに於ても孝心を御賞し有るにつき利欲りよくかゝはらず深切しんせつ懸合かけあひとげ遣はすべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)