トップ
>
遂行
>
すいこう
ふりがな文庫
“
遂行
(
すいこう
)” の例文
兎も角、簡単に説明するとね、我々の心に絶えず起って来る慾望というものは、その大部分は
遂行
(
すいこう
)
されないでほうむられてしまう。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それを忠実に
遂行
(
すいこう
)
するに要する努力の興奮剤としてチューインガムを使用しているとすれば、いくらか尤もらしく思われて来るのである。
チューインガム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
約束の
履行
(
りこう
)
などという事は、最初から深く考えなかったのみならず、
遂行
(
すいこう
)
の時期が来た時分には、もうそれを忘れていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそれも
遂行
(
すいこう
)
し
終
(
おお
)
せたわけではない。今からでも花田を射殺する決心になれば、そして何食わぬ顔をして原隊に戻れば、誰も知るものはない。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
すべて
竜神
(
りゅうじん
)
には
竜神
(
りゅうじん
)
としての
神聖
(
しんせい
)
な
任務
(
つとめ
)
があり、それが
直接
(
ちょくせつ
)
人間界
(
にんげんかい
)
の
利益
(
ため
)
になろうが、なるまいが、どうあっても
遂行
(
すいこう
)
せねばならぬことになっている。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
故
(
ゆえ
)
に、男湯の方の感電を計画し、またそれを
遂行
(
すいこう
)
するための技術上の操作は、十分間も要さずに
易々
(
やすやす
)
と行われた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その国家意思の
遂行
(
すいこう
)
についての最高の指導をするのが政治で、その政治によって決定された国家意思を、その政治の指導の下で実現し遂行してゆくのが行政である。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
雪之丞は、今は、目的の
遂行
(
すいこう
)
にいそがねばならぬのだった——追ッかけられるような不安が、いつも落ちつきを失わぬ彼の胸をも、いらいらと焦り立たせるのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ただ特別なる場合、たとえば
来客
(
らいきゃく
)
とか病気とかの時のごときには、明らかなる意思を立てて
遂行
(
すいこう
)
するも必要だが、たいていの場合にはどちらでも差支えないことが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
当家の家老官兵衛を、そちらへ使者としてさし向けたが、この者は由来強硬なる織田方の
執心者
(
しゅうしんしゃ
)
故、この者あるうちはとかく毛利家とも
尊兄
(
そんけい
)
との
盟約
(
めいやく
)
も
遂行
(
すいこう
)
いたし難い。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わしはただこの紙に記されてあることを忠実に
遂行
(
すいこう
)
することを上役から命じられたにすぎない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
恐らく自分の使命が或る程度まで
遂行
(
すいこう
)
され、而もそれ以上は最早や実現不可能であると
看
(
み
)
て取った或る時期に、自ら
刃
(
やいば
)
に伏してその
屍
(
かばね
)
を金掘りのそれと同じ
暗黒裡
(
あんこくり
)
に
埋
(
うず
)
め
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「本官は貴官に重大な命令を与える。事の成否は帝国の
安危
(
あんき
)
に
係
(
かか
)
っている。仁科少佐は、天皇陛下並に日本帝国の為、万難を排し、身命を
抛
(
なげう
)
って任務を
遂行
(
すいこう
)
する事を欲する」
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その城の中から外側の自分を
牽制
(
けんせい
)
し、操り、たとえ自分の身に済まぬことでも、その秘密の城を守ることの為めなら、その秘密の城の中で
計画
(
たくら
)
まれたことの
遂行
(
すいこう
)
の為めなら
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
普通人のようにシッカリした足取りで、普通人以上に巧妙な智慧を使って、複雑深刻を極めた犯罪を
遂行
(
すいこう
)
する事があると、記録にも残っているくらいですが
正
(
まさ
)
にその通りです。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
開塾式を明日にひかえた今、何といっても、かれにとっての最大の関心事は、塾堂生活のことであり、朝倉先生夫妻の助手としてのかれの任務を手落ちなく
遂行
(
すいこう
)
することであった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
誰も指をさす者のない
勝安房守
(
かつあわのかみ
)
であることが、虎の威光となっているのに、それを眼中におかず、ことに外国船引揚げというような難事業を、彼等一旗で
遂行
(
すいこう
)
しようという振舞が言語道断である。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あなたから見たら、これが義務の
遂行
(
すいこう
)
を重んずる私の性格のように思われるかも知れません。私もそれは
否
(
いな
)
みません。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その目的である活動写真撮影を完成し、
兼
(
か
)
ねて恋愛の復讐か何かを
遂行
(
すいこう
)
したものであろう。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
具体的に個々の
衣服
(
きもの
)
について始めて
価
(
あたい
)
がきまるのである。単に
衣服
(
きもの
)
というただけでは何とも決することが出来ぬ。それと同じく遠慮と
遂行
(
すいこう
)
の程度は概括的に定めることはほとんど不可能である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ただに君家の
怨
(
えん
)
をはらしたと云うのみでなく、
彼
(
あ
)
の衆の示した親子の大愛、
美
(
うる
)
わしき友の
友誼
(
ゆうぎ
)
、
忍苦
(
にんく
)
、潔白、しかも止むなく目的の
遂行
(
すいこう
)
には、法に触れるを得なかったにせよ、前後の行動には
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
必竟
(
ひっきょう
)
私にとって一番楽な努力で
遂行
(
すいこう
)
できるものは自殺より
外
(
ほか
)
にないと私は感ずるようになったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは、閣下に代って、わたくしが
遂行
(
すいこう
)
いたしました。閣下から信頼を受けてあの重大任務をおうちあけ願っていなかったら、わが国史上に、一大汚点を印するところでありました」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを
遂行
(
すいこう
)
するにも、白昼公然ではなく、いつも、夜陰、あるいは人目のない所で行われるので、世間は知らないが、家中では、そういう嫌疑者の多くを上げてくることが、すこぶる
誉
(
ほま
)
れであり
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俺は何事にも柔であると一貫して
遂行
(
すいこう
)
することも出来ぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
買ってきて、まだ目的を
遂行
(
すいこう
)
しないうちに、友だちが金を借りにきた。金はないと断ったが、ぜひどうかしてくれと訴えるので、しかたなしに、大事の短銃を貸してやった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自己の優勢なる事はこの手段を
遂行
(
すいこう
)
した
後
(
のち
)
に必然の結果として起る現象に過ぎん。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
移る前に、好い機会だからちょっと東京まで出たいものだと考えているうちに、今度もいろいろの事情に制せられて、ついそれも
遂行
(
すいこう
)
せずに、やはり下り列車の走る
方
(
かた
)
に自己の運命を托した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“遂行”の意味
《名詞》
遂 行(すいこう)
あることを成し遂げること。
(出典:Wiktionary)
遂
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
“遂”で始まる語句
遂
遂々
遂事
遂得
遂次
遂良
遂高