辨慶縞べんけいじま)” の例文
切りて迯行にげゆき候と申けるに奧田殿扨々さて/\それをしき事なり然らば切たる袖は後の證據とならん是へとて右の袖を見らるゝに辨慶縞べんけいじま單物ひとへものふるきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おつぎがあらざらしのあはせてゝ辨慶縞べんけいじま單衣ひとへるやうにつてからは一際ひときはひと注目ちうもくいた。れいあかたすきうしろ交叉かうさしてそでみじかこきあげる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎはとき吹消ふつけしたブリキのランプをけて、まだ容子ようすがはき/\としなかつた。勘次かんじ先刻さつき風呂敷包ふろしきづゝみいた。ちひさくたゝんだ辨慶縞べんけいじま單衣ひとへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
面倒に思ひつゝ足にまかせて歩行あゆみける此金兵衞の行裝こしらへ辨慶縞べんけいじまの越後縮の帷子かたびら銀拵ぎんごしらへの大脇差し落し差に差て菅笠すげがさふか打冠うちかぶり鷲の宮迄來りけるこゝに畔倉重四郎は此頃つゞく不仕合に勝負しようぶの資本薄ければ忽然たちまち惡心あくしんはつし鴻の巣の金兵衞が大いにかつ在所ざいしよへ立歸るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
またさわやかな初夏しよか百姓ひやくしやうせはしくなつた。おつぎはんだおしな地機ぢばたけたのだといふ辨慶縞べんけいじま單衣ひとへるやうにつた。はりつやうにつたときおつぎはこれ自分じぶん仕上しあげたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)