貴殿あなた)” の例文
けれども貴殿あなたがそういふことをまうされるのも要之つまりぼくが一のちひさな小學校せうがくかう出身しゆつしんであることをほこるとか、感謝かんしやするとかふのは
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
貴殿あなたが見えられないし、退屈でたまらないから、若党をれて、眺望のい処へ参ろうと思い、この下の谷の処まで来るとこのあんが眼にき、貴殿きでんのことを思いだして
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
はげまし餘りといへば長庵殿眼前がんぜん此程料理屋の二階にて貴殿あなたたのみに任せ手渡し爲したる五十兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「小次郎の鋩子尖きっさき貴殿あなたの眉間を傷つけたそうで御座るが」
巌流島 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
貴殿あなた何處どこ御出身ごしゆつしんですか』と突然とつぜん高等商業かうとうしやうげふ出身しゆつしんなにがしいまある會社くわいしや重役ぢゆうやくおぼえ目出度めでた一人ひとりをとこ小介川文學士こすけがはぶんがくしとなりすわつて新來しんらいきやくひかけた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「それこそ弘法大師様でございます、貴殿あなたは悪いことをなさいました」
長者 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大切たいせつに致せよと云捨いひすてて奧へ行んと爲るを吉三郎最早堪兼こらへかね利兵衞がすそとらへ何故然樣さやうの事を申され候や此身になりても御無心ごむしんに參りしには非ず貴殿あなたには我が父より御頼おたのみ申せしことを忘れ給ひしやとことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるほどわかりました、ちからです、です、そしてじつまた希望きばうです、ぼく貴殿あなた大島小學校おほしませうがくかう出身しゆつしんであることを感謝かんしやし、ほこらるゝことを、當然たうぜんおもひます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
貴殿あなたは、どこか、このあたりのお寺に御逗留ごとうりゅうになっておりますか」
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
同者まことと思ひ私は相摸領さがみりやう御殿場の者にて小前こまへの百姓條七と云者だが上田じやうでんが六石三斗中田が七枚半山が七ツあれ親子おやこ三人ぐらしゆゑ十日や廿日は麥飯むぎめしさへ承知しようちなれば貴殿あなた一人位は苦にはせぬ其中に何あきなひでもするか但しはまた奉公ほうこうにでも出るかよも死ぬにはましで有うからおれ在所ざいしよへ御座れと深切しんせつに云ければ九郎兵衞夫は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)