謀計はかりごと)” の例文
彼等はどうして我々の謀計はかりごとぎ出したろう。どうして私の成功した事を知ったのだろう。そして一体私はどうしたら好いのだろう。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
生きた兎が飛び出せば伏勢でもあるかと刀に手が掛かり、死んだ兎がみちにあれば敵の謀計はかりごとでもあるかと腕がとりしばられる。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
合て見れば我等が謀計はかりごとあたりしなり今にては見らるゝ通り相應さうおう身上しんじやうも仕上たれば貴樣が今度遣ひし二人の路用金位ろようきんぐらゐは損をばかけよき江戸土産みやげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かねて謀計はかりごと喋合しめしあわせた、同じく晩方げる、と見せた、学校の訓導と、その筋の諜者ちょうじゃを勤むる、狐店きつねみせの親方を誘うて、この三人、十分に支度をした。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お延はそれ以上にまださとい気を遠くの方まで廻していた。彼女は自分に対して仕組まれた謀計はかりごとが、内密にどこかで進行しているらしいとまでかんづいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宋江も弓を払って、他意なきを示し、共に、謀計はかりごとをしめし合せて、奉行のていを城外へ誘い出した。そしてこれを殺し、程の娘を、城中から奪ったのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おうこうと男が口外したものを反故ほごには出来ん、一足も退く事は出来ん、仮令たとい謀計はかりごとがあっても虎の穴へ這入へえらなければ虎の子はられぬからくよ、貴様も男らしくも
自分たちに発見されたのを気づいたために、自分たちを欺こうとする敵の謀計はかりごとではないかと思った。が、弔問の客の顔にも、近隣の人々の振舞にも、死者を悼む心がありありと動いていた。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そんな謀計はかりごとがあって、頃あいをはかって飛び込んで来て助けたと見せかけ、こうして自分を源助町の喬之助の妻園絵の身代りに送り込もうとしているなどとは、ゆめにも知らないお妙である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
君公きみ謀計はかりごとにござりまする。粗略あろうとは存じられませぬ」
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
所がこの謀計はかりごとは正に図に当ったらしいのだ。というのは、それから間もなく、重武はあっさりすぐこの訴訟抗告を取下げているのだ。
取出しあたへければ犬は尾をふりよろこ喰居くひゐるを首筋くびすぢつかんでえいやつてなげつけ起しもたゝず用意の小刀こがたなを取出し急所きふしよをグサと刺通さしとほせば犬は敢なくたふれたり寶澤は謀計はかりごと成りと犬の血を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
要は「関東を打ち破るてだてはどうか。忌憚きたんなくその謀計はかりごとを述べてみよ」と、いうのであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先方さきにはんな謀計はかりごとがあるかも知れねえ
僕は貴様が先刻さっき云った隠し場所は出鱈目でたらめだった事を知ったから、本当の事を云わそうと思って謀計はかりごとにかけたのだ。お父さんは地下室の牢に入ってなんかいやしない。
計略二重戦:少年密偵 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
用ひ見られよされども先何事もなきていに歸り斯樣々々かやう/\にし給へと謀計はかりごとをしへ傳吉をば歸しける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夏休なつやすみが始まると、私達はりもせずに、又彼から金を取出す相談を始めた。そのうちに友人は大阪へと旅立ったが、彼はふとある謀計はかりごとを思いついたので、私と東西呼応して事を挙げたのである。
急行十三時間 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)