しやう)” の例文
壽阿彌は高貴の家へも囘向ゑかうに往き、素封家そほうかへも往つた。刀自の識つてゐた範圍では、飯田町あたりに此人をしやうずる家がことに多かつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
この貴婦人たちは、ブロクルハースト氏の夫人及び令孃として、テムプル先生に恭々うや/\しく迎へられ、室の上席の名譽席めいよせきしやうじられた。
ひとりのをる處には他もまたしやうぜられ、さきに二人ふたりが心をあはせて戰へる如く、その榮光をもともに輝かすをよろしとす 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さても常樂院は紺屋こんや五郎兵衞を初め四人の者共に威を示し甘々うま/\と用金を出させんと先本堂ほんだうの客殿にしやうれいの正面のみす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先づ赤穴丹治がいへにいきて、一二三姓名をもていひ入るるに、丹治迎へしやうじて、一二四つばさある物の告ぐるにあらで、いかでしらせ給ふべきいはれなしと、しきりに問もとむ。左門いふ。
さて和尚にしやうじらるゝまゝに庫裡に帰りて板の間に荒こもを敷きつゝ和尚と対座し辞儀を交して煎茶をすするに、和尚座をくつろげ、われにも膝を崩させて如何にも打解けたる体にもてなし
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
祝言しうげんの座にしやうぜられぬ仁兵衛ではあるが、いつも厚くきやうせられ調法におもはれた。仁兵衛は持前の謡をうたひ、目出度めでたや目出度を諧謔かいぎやくで収めて結構な振舞ふるまひを土産に提げて家へ帰るのであつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
今年八月、当麻の氏人に縁深いお方が、めでたく世にお上りなされた時こそ、再おのが世に来たと、ほくそ笑みをして居た——が、氏の神祭りにも、語部をしやうじて神語りをべさせようともしなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
誰を、ああしやうずる一室ひとまなるらむ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
うやまふ事大方ならず今日はからずも伊賀亮の來訪らいはうあづかれば自身に出迎ひて座敷ざしきしやうじ久々にての對面を喜び種々饗應きやうおうして四方山よもやま物語ものがたりには及べり天忠言葉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
持せて先へ差越さしこし程なく寳珠花屋へ入來いりきたりしかば亭主は早速さつそく出迎いでむかへて座敷へしやうじしに醫師は四邊あたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)