誅戮ちゅうりく)” の例文
もしまた、光秀を誅戮ちゅうりくして信長のとむらい合戦を果し、義を天下に唱えんか、天下はおのずから秀吉の手に傾いて来ないわけにゆかない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一日も早くくだんの悪僧を誅戮ちゅうりくなし、下々しもじもの難儀を救い取らせよとの有難い思召おぼしめしによって、はるばる身共を差遣さしつかわされた次第じゃ。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かの大臣これ後日聖主となり亡国を復興する人物と、后に向い祝辞を述べ、家人を戒めこの語を洩らさば誅戮ちゅうりくすべしというた。
こっちのは天に代って誅戮ちゅうりくを加える夜遊びだ。とはいうものの一週間も通って、少しもげんが見えないと、いやになるもんだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下民を苦しめそうろう諸役人をみな誅伐ちゅうばついたし、ひき続いてきょうに長じ居候市中金持の町人どもを誅戮ちゅうりくに及び申すべく、とか。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
唐物とうぶつ(洋品)の商法あきないをするもの。この三つの者は勤王攘夷の敵と認めて誅戮ちゅうりくを加える。ただし、私欲でもって人民の財産を強奪することは許さない。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この報告に秀吉の激怒爆発、切支丹は国土を奪ふ手段であると断じて、切支丹教師逮捕令を発令、石田三成に誅戮ちゅうりくを命じた。一五九六年十二月九日であつた。
それ燕王は叔父たりといえども、既に爵を削られて庶人たり、庶人にして兇器きょうきろうし王師に抗す、其罪もとより誅戮ちゅうりくに当る。しかるにかくごときの令を出征の将士に下す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いよいよもって不届き至極、よって屋敷を焼き払い、汝をここにて誅戮ちゅうりくす! 申せ申せ言い訳あらば申せ!
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
誅戮ちゅうりく」「討伐」「征伐」「征討」などと、武張ったどこかの国のジャーナリストなら書きたい所であろう。それを「平和化」と云ったところはやはりフランス人である。
雑記帳より(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「さては火をかけて自滅と見ゆるぞ。暴君の滅亡は自然の命数めいすうじゃが、油断してかの妖魔を取り逃がすな。雷震はおらぬか。煙りのなかへ駈け入って早く妖魔を誅戮ちゅうりくせよ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「お騒ぎでない。かの者、不忠、不所存きわまるによって、誅戮ちゅうりくいたしたまででござる。そなたを、どういたそう? 何で、危害を加えましょう? ま、落ちつきなさい」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
あの男には三度迄死罪を免ずる約束がしてあるのだと公が言う。それでは、と太子は父を威すように念を押す。四度目の罪がある場合には間違いなく誅戮ちゅうりくなさるでしょうな。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
またの友之助を助けるために蟠龍軒の屋敷へ踏入り、悪事加担の奴ばらを切殺したりとは云いながら、これ私慾のためならず、世のため人のため、天に代って誅戮ちゅうりくを加えたるに過ぎざれど
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
辺土遠国を仮の住家すみかとして土民百姓の頭として、細々と成長致し候いしも、一陽来復、時節到来、平家一族追討の手始めとして義仲を誅戮ちゅうりくしてよりこの方、ある時は、峨々ががたる岩石に、又ある時は
「天に代って貴様等を誅戮ちゅうりくに来たんだ。日印××なぞといって銀座街頭で南洋女の人肉売買をしているんだ。ちゃんとネタが上っているんだぞ」
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「少しぐらい身体が疲れたって構わんさ。あんな奸物かんぶつをあのままにしておくと、日本のためにならないから、僕が天に代って誅戮ちゅうりくを加えるんだ」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天下こぞって誅戮ちゅうりくを加うべきはずに候えども、大樹たいじゅ(家茂)においてはいまだ若年じゃくねんの儀にて、諸事奸吏どもの腹中よりで候おもむき相聞こえ、格別寛大の沙汰さたをもって
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「禁門に力ある武士を大勢伏せておいて、彼が、参内する車を囲み、有無をいわせず誅戮ちゅうりくしてしまうのです。——呂布にそれをやらせれば、万に一つものがす気遣いはありません」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
創業の元勲として太祖の愛重あいちょうするところとなれるのみならず、西安せいあんに水道を設けては人を利し、応天おうてんに田租を減じては民をめぐみ、誅戮ちゅうりくすくなくすることを勧め、宦官かんがんさかんにすることをいさ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これでは大黒時に鼠や賊を制止誅戮ちゅうりくし、槌は殺伐の具となって居る。
薩長の真意が慶喜をちゅうし、同時に会津の松平容保かたもりと桑名の松平定敬さだのりとを誅戮ちゅうりくするにあることが早く名古屋城に知れ、尾州の御隠居はこの形勢を案じて会桑かいそう二藩の引退を勧告するために
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「なに、俺は、俺を殺そうと謀った蹇碩の奴さえ誅戮ちゅうりくすればいいのだ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに勤王派が盛り返すと今度は佐幕派の全部を誅戮ちゅうりくする。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
係りの官吏および外国公使を誅戮ちゅうりくすべしなどとした壁書も見いだされる。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
暗に、二奸の誅戮ちゅうりくを帝にすすめたのであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)