づま)” の例文
夫人はふるい日本の婦人たちがこれまで少し行きづまるといつもすぐ決行したような安易な死を選ばずとも、もっと力強い積極的な態度をもって
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「おはなしりません。……彼岸ひがんちかい、殘暑ざんしよもドンづまりとところて、まあ、うしたつてふんでせうな。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
変だから、列を右へはずして、向うを見ると、大手町おおてまちき当って薬師町やくしまちへ曲がる角の所で、行きづまったぎり、し返したり、押し返されたりしてみ合っている。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
階段の下に果して電話機がこっちをのぞいていましたので、私は嬉しくなって飛びついてゆきました。だが電話をかけようとして、私はハタとづまってしまいました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「向うに見える森を抜けると、お屋敷ざかい高塀たかべいがあります。そのどんづまりの藪畳やぶだたみで」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その進歩が行きづまって爆薬の出現となったものであるが、爆薬の方は不安定な化合物の爆発的分解によるもので、勢力のみなもとを分子内に求めている。勿論爆薬の方が火薬よりもずっと猛威をたくましゅうする。
原子爆弾雑話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
トヾの結局つまり博物館はくぶつくわん乾物ひもの標本へうほんのこすかなくば路頭ろとういぬはらこやすが学者がくしやとしての功名こうみやう手柄てがらなりと愚痴ぐちこぼ似而非えせナツシユは勿論もちろん白痴こけのドンづまりなれど、さるにても笑止せうしなるはこれ沙汰さた
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
女性の良心はこの点では、すぐに行きづまらせられるのであります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)