見初みそめ)” の例文
それかと言つて来るほどのお人に無愛想もなりがたく、可愛いの、いとしいの、見初みそめましたのと出鱈目でたらめのお世辞をも言はねばならず
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まよしけるうち近隣きんりんの社人玉井大學たまゐだいがくの若黨に源八と云者いふものありしが常々つね/″\通仙つうせんの見世へ來てははなしなどして出入りしに此者このものいたつ好色かうしよくなれば娘お高を見初みそめ兩親の見ぬ時などは折々をり/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのは、ちょうど植木だな執持とりもち薬師様と袖を連ねた、ここの縁結びの地蔵様、実は延命地蔵尊の縁日で、西河岸で見初みそめて植木店で出来る、と云って、宵は花簪はなかんざし、蝶々まげ、やがて、島田、銀杏返いちょうがえし
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
れかとつてるほどのおひと無愛想ぶあいさうもなりがたく、可愛かわいいの、いとしいの、見初みそめましたのと出鱈目でたらめのお世辭せぢをもはねばならず
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このみて相應に打けるゆゑ折々をり/\は重四郎をの相手となせしを以て重四郎は猶も繁々しげ/\出入なし居しが偶然ふと娘お浪の容貌みめかたちうつくしきを見初みそめしより戀慕れんぼじやう止難やみがたく獨りむねこがせしがいつそ我が思ひのたけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れにかまはずくちびるめて、まあお聞遊きゝあそばせ、千葉ちば其子そのこ見初みそめましてからのことあさ學校がくかうゆきまするときかなら其家そこ窓下まどしたぎて、こゑがするか、つたか、たい、きゝたい、はなしたい
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)