西山にしやま)” の例文
「このおおきいのは、一つだっておもくてってはいかれないさ。ちっとばかり、ぶんなら、かまわないだろう。」と、西山にしやまが、こたえました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大寺おおでらの鐘の音を聞いていると、白楽天の詩にある遺愛寺いあいじの鐘を聞く想いがし、又西山にしやまの雪景色は香炉峰こうろほうの眺めを思わせた。
そしてうちの左の方は加茂川かもがはなのです。綺麗きれいな川なのですよ、白い石が充満いつぱいあつてね、銀のやうな水が流れて居るのです。東山ひがしやま西山にしやま北山きたやまも映ります。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
京一さんのお父さまは、ごん八さんといふ名で、西山にしやまの中ほどに、りつぱな家を建てて、瓦屋をしてゐました。
にらめつくらの鬼瓦 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
すはこゝろあたりときゝて主人あるじつま大によろこび、子どもらもとも/″\に言葉ことばをそろへてまづ礼をのべ、その仔細しさいをたづねければ、老夫らうふいふやう、それがし今朝けさ西山にしやまたふげなかばにさしかゝらんとせし時
ここ越えてゆかば長崎の西山にしやまにいづるらむとてしばらあり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
西山にしやま往来おうらいたしておいて、かばんをうちむと、すぐに、としちゃんも、たけちゃんも、よっちゃんも、してきました。その姿すがたつけると
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女院や宮々も八幡やわた、賀茂、嵯峨さが太秦うずまさ西山にしやま、東山などの片田舎に難を逃れている。平家一門は都より落ちたが、源氏はまだ京に入っていない。京は主のない都となった。
たくさんの年賀状ねんがじょうなかに、ぼくにきたのが二まいあった。川田かわだ西山にしやまからだ。学校がっこうで、いちばんしたしい二人ふたりなのだ。なぜ、ぼくはやいてさなかったろう。
ある少年の正月の日記 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どれ、そいつは磁鉄鉱じてっこうらしいな。きんは、もっとうす紫色むらさきいろびているよ。」と、西山にしやまが、いいました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちへいくみちようとおもって、おなじみちをなんべんも、ぐるぐるまわっているうちに、がさめると、西山にしやまはやしなかで、ていたというこった。」と、むらひとはいいました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)