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苔桃
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こけもも
ふりがな文庫
“
苔桃
(
こけもも
)” の例文
時としては青黒い
苔桃
(
こけもも
)
のような甘っぽい空疎な味であるが、しかし少なくとも大地の
匂
(
にお
)
いをもっている、まだ若々しい芸術である。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
浦島躑躅
(
うらしまつつじ
)
、
苔桃
(
こけもも
)
、
黄花石楠
(
きばなしゃくなげ
)
、
姫菅
(
ひめすげ
)
など、岩間に痩せた茎を托しているが、花は
流石
(
さすが
)
に美しい。偃松も山の肌へ腹匐いになって、身を潜めている。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
燕
(
つばめ
)
温泉に行った時、ルビーのような、赤い実のついている
苔桃
(
こけもも
)
を見つけて、
幽邃
(
ゆうすい
)
のかぎりに感じたことがあります。
果物の幻想
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この山に
生
(
は
)
えている、
葡萄
(
ぶどう
)
、
苔桃
(
こけもも
)
、
若老
(
わかおい
)
、しゃくなげの
芽
(
め
)
、それに
栗
(
くり
)
だの
柿
(
かき
)
だの、
仙人草
(
せんにんそう
)
の
根
(
ね
)
だの、いろんなものをすこしの
焼米
(
やきごめ
)
と
搗
(
つ
)
き
交
(
ま
)
ぜたのでございます。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の歩いているその辺はどうやら富士も五合目らしく、その証拠には木という木がほとんど地面へ
獅噛
(
しが
)
み付いている。そうしてその木の種類といえば
石楠花
(
しゃくなげ
)
、
苔桃
(
こけもも
)
の類である。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
這
(
は
)
ったりした、およそ間の岳から北岳の峰までの、石の草原には、
深山薄雪草
(
みやまうすゆきそう
)
、
深山金梅
(
みやまきんばい
)
、トウヤク
竜胆
(
りんどう
)
、
岩梅
(
いわうめ
)
、
姫鍬形
(
ひめくわがた
)
、
苔桃
(
こけもも
)
などが多いが、その中で、誰の目にもつくのは、長之助草である
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
一方には
又
(
また
)
あの緑の
毛氈
(
もうせん
)
を敷いたような
岩高蘭
(
がんこうらん
)
と
苔桃
(
こけもも
)
の軟い
茵
(
しとね
)
に、慈母の優しいふところを思わせる親しさがある。
秩父のおもいで
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
赤銅
(
しゃくどう
)
色の
橅
(
ぶな
)
、金褐色の
栗
(
くり
)
、
珊瑚
(
さんご
)
色の房をつけた清涼茶、小さな火の舌を出してる炎のような桜、
橙
(
だいだい
)
色や
柚子
(
ゆず
)
色や栗色や焦げ
燧艾
(
ほくち
)
色など、さまざまな色の葉をつけてる
苔桃
(
こけもも
)
類の
叢
(
くさむら
)
。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「いつぞや、お
酒蔵
(
さけぐら
)
の掃除の時、蔵の底からたいそう古い、
苔桃
(
こけもも
)
の銘酒を見つけたと
侍衆
(
さむらいしゅう
)
が珍重がっておりました。なんでしたら、その
苔桃
(
こけもも
)
の古酒を少々持ってまいりましょうか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小屋から二十間
許
(
ばかり
)
北に離れて、綺麗な砂地に
岩高蘭
(
がんこうらん
)
や
苔桃
(
こけもも
)
などの生えている草原がある。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
笹が少なくなって
石楠
(
しゃくなげ
)
や
御前橘
(
ごぜんたちばな
)
、
岩鏡
(
いわかがみ
)
、
苔桃
(
こけもも
)
などが下草に交って現れる。左に近く
笈吊
(
おいつる
)
岩の絶壁を仰ぐようになると直ぐ峠の頂上である。十日程前には紅葉が盛りであったという。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
暫く四方の眺望を
恣
(
ほしいまま
)
にし、そして岩を下りると、
茵
(
しとね
)
のようにやわらかいふっくりした青い
岩高蘭
(
がんこうらん
)
や
苔桃
(
こけもも
)
の中に身を埋めて、仰向けに寝ころんだまま、経文を誦する人声が耳に入るまで
金峰山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
苔桃
(
こけもも
)
の実に喉を潤し、それでもまだ気懸りなので原の中央まで駈足で行き駈足で戻り往復三十分を費して荷物を置いた場所迄来ると、直にそれを背負って和田に通ずる道をかけ下りた。
美ヶ原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
附近には
岩高蘭
(
がんこうらん
)
、
苔桃
(
こけもも
)
、蔓苔桃が一面に緑の毛氈——そのすっきりした柔い感じは寧ろ
天鵞絨
(
ビロード
)
を想わせる——を敷き詰めて、秋十月頃には紅色紫黒色の小果が玉累々たる有様を呈する。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
私がここに遊んだのは、中秋と晩春の頃であったから、牛馬の姿は認めなかったが、茶臼山の頂上に生えている
苔桃
(
こけもも
)
を踏み蹂った狼藉たる蹄の跡に、初めは鹿か猪の
所為
(
せい
)
ではないかと疑った。
高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
瞰下
(
みお
)
ろす左の谷は黒木の茂った
邃
(
おくぶか
)
い子酉川の上流で、脚の下は百尺の懸崖である。岩間には低い灌木が生えていて、日蔭かずら、
苔桃
(
こけもも
)
、
小岩鏡
(
こいわかがみ
)
などが目に入る。此岩峰は地図に記載してない。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
高根薔薇
(
たかねばら
)
の艶麗、高根
撫子
(
なでしこ
)
の可憐、
黄花石楠
(
きばなしゃくなげ
)
の清楚に加えて、
伊吹麝香草
(
いぶきじゃこうそう
)
、車百合、
千島桔梗
(
ちしまぎきょう
)
などが現われ、少し岩の露出した所には、姿のいい真柏や唐松などが生えている。
苔桃
(
こけもも
)
や
岩高蘭
(
がんこうらん
)
も多い。
北岳と朝日岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
頂上は小沢岳より狭く
且
(
かつ
)
高さも十六、七米低いが、二等三角点を取り巻いて岩塊の狼藉たる上に、偃松や石楠が枝を延し、四、五寸の小笹に交って
苔桃
(
こけもも
)
、
御前橘
(
ごぜんたちばな
)
、イワハゼ、ウイキョウ、
深山鍬形
(
みやまくわがた
)
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
“苔桃(コケモモ)”の解説
コケモモ(苔桃、学名: Vaccinium vitis-idaea)は、ツツジ科スノキ属の常緑小低木。果実を食用とするが、栽培されることは稀で、野生のものを採取するのが一般的である。
(出典:Wikipedia)
苔
漢検準1級
部首:⾋
8画
桃
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
“苔”で始まる語句
苔
苔蒸
苔生
苔蘚
苔原
苔石
苔虫
苔香園
苔取
苔縄