“臨時(りんじ)” の例文
たゞ地味(ぢみ)な生活(せいくわつ)をしなれた結果(けつくわ)として、足(た)らぬ家計(くらし)を足(た)ると諦(あき)らめる癖(くせ)が付(つ)いてゐるので、毎月(まいげつ)極(きま)つて這入(はい)るものゝ外(ほか)には、臨時(りんじ)に不意(ふい)の工面(くめん)をしてまで
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
天下の政権武門に帰(き)し、帝室(ていしつ)は有(あ)れども無(な)きがごとくなりしこと何百年、この時に当りて臨時(りんじ)の処分(しょぶん)を謀(はか)りたらば、公武合体(こうぶがったい)等種々の便利法もありしならんといえども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
臨時(りんじ)教師なのだ。かわりがあれば、いつやめさせられるかもしれないのだ。早苗は、気のどくさにしおれて、それを報告した。大石先生の目は、異様にかがやいたのである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
かれらの学校は、まだ出来て間(ま)がないために、講堂(こうどう)の設備(せつび)がなかった。だいじな式(しき)や学芸会(がくげいかい)のときには、二階の教室を三つぶちぬいて、臨時(りんじ)に会場をつくることになっていた。
美しき元旦 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
聞けば此(この)母親娘が或(ある)お屋敷(やしき)の奥向(おくむき)に奉公中(ほうこうちう)臨時(りんじ)の頂戴物(てうだいもの)もある事なればと不用分(ふようぶん)の給料を送りくれたる味の忘られず父親のお人よしなるに附込(つけこ)みて飽迄(あくまで)不法(ふはふ)を陳(ちん)じたるものゝ由(よし)に候(そろ)。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
〔譯〕臨時(りんじ)の信(しん)は、功(こう)を平日に累(かさ)ぬればなり。平日の信は、効(こう)を臨時に收(をさ)むべし。
彼(かれ)は書生(しよせい)として京都(きやうと)にゐる時分(じぶん)、種々(しゆ/″\)の口實(こうじつ)の下(もと)に、父(ちゝ)から臨時(りんじ)隨意(ずゐい)に多額(たがく)の學資(がくし)を請求(せいきう)して、勝手(かつて)次第(しだい)に消費(せうひ)した昔(むかし)をよく思(おも)ひ出(だ)して、今(いま)の身分(みぶん)と比較(ひかく)しつゝ、頻(しき)りに因果(いんぐわ)の束縛(そくばく)を恐(おそ)れた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)