そだち)” の例文
当時もとどりを麻糸でい、地織木綿じおりもめんの衣服をた弘前の人々の中へ、江戸そだちの五百らがまじったのだから、物珍らしく思われたのもあやしむに足りない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
殺はやすけれどこゝに一ツの難儀なんぎといふは小姓こしやう次助佐助の兩人にてかれは天一とは幼年えうねんより一所にそだちし者なれば天一を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我儘わがまゝそだちで、其れに耶蘇ヤソだからツて申した所が、松島さんのつしやるには、イヤ外国の軍人と交際するには、耶蘇のかゝあの方がかへつて便利なので、元々梅子さんの容姿きりやうが望のだから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
見慣みならひて平生へいぜいはすはにそだちしは其の父母の教訓をしへいたらざる所なり取譯とりわけはゝこゝろよこしまにて欲深よくふかく亭主庄三郎は商賣しやうばいの道は知りても世事せじうと世帶せたいは妻にまかおくゆゑ妻は好事よきことにしてをつとしりき身上むき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
只今大膳よりきゝ及び承知したりしか箇樣かやう大望たいまうは中々うきたる事にては成就じやうじゆ覺束おぼつかなしまづ根本こんぽんより申合せてたくまねば萬一まんいち中折なかをれして半途はんと露顯ろけんに及ぶ時は千辛萬苦せんしんばんくも水のあわなるばかりか其身の一大事に及ぶべし先名乘なのり出る時は必ず其生れ所とそだちし所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)