)” の例文
しぼまざる温雅の情操を持して、利害の打算にれ余念なき現時の市中に、其高く優しき行為を成すに至らしめしにはあらざるか。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
これは「みなともにれ新たなり」の時であるから、彼等は話が弾んで立ちどころに情意投合の同志となり、互に相約して革命に投じた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
日本は三千年の古い帝国なりといえども、明治の気運は全く新たなり。ただめいあらたなり。世界的に活動を要する。欧州の大戦も早晩平和は来る。
吾人の文明運動 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
みづから一の目的もくてきさだめ、万障ばんしやうはいし、終生しうせいてつその目的点もくてきてんたつせんとつとむるが如きは不信仰ふしんこう時代じだい行為こうゐなりき、しゆめいしたがひ、今日こんにち今日こんにちげふす、今日こんにち生涯しやうがいなり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
しかし其材料の扱方に於て、素人歴史家たるわたくしは我儘勝手な道を行くことゝする。路に迷つても好い。若し進退きはまつたら、わたくしはそこに筆を棄てよう。所謂いはゆる行当ばつたりである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
危岩突兀とつこつまさに頭上にちんとす、進退たにまりあへて良策をあんするものなく、一行叢中に踞坐こざして又一語なし、余等口をひらきて曰く、すすむもかた退しりぞくも亦かたし、難は一なりむしすすんでくるしまんのみと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「江門ノ鷲津毅堂カツテ甲斐かいニ遊ビ武右ノ家ニ宿ス。詩ヲ賦シテコレニ贈ツテ曰ク。君家雖旧徳維新。闔郡皆推賜姓人。曾引渓流漑田畝。一川活得五村民。」〔君ガ家ハふるキト雖モ徳レ新タナリ/闔郡皆推ス賜姓ノ人ヲ/曾テ渓流ヲ引キテ田畝ヲ漑ス/一川カシ得タリ五村ノ民〕云々。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
旧邦といえどもそのめいあらたなり。古い国もここに大改革をして将来に新しい運命を開き、人心を新たにし、国民の思想を新たにし、国民の働きを新たにする。
吾人の文明運動 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
かの巴里パリ新流行とか云ふ淡緑の衣着けたる一美人を左手ゆんでにかばひつゝ、ライン河の南岸に立ちて、大空におご巨鵬きよほうの翼のおのが頭上をかすめざらむ事をれ恐るゝ状をなすものは仏蘭西にあらずや。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)