つな)” の例文
旧字:
穴勝というような俗語を使って「くれなゐならぬ」というような雅語をつなぎ合わせたところにこの句の手際はあるのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
アラビヤの旧伝に、インドの大王人を海島に遣わし、王の牝馬をつなぎ置かしむると、海より牡馬出てこれと交わり、終ってこれを殺さんとす。
あの杓子がいくつつながったら、おしまいになるのか分らない。今夜のうちにもひさしを突き破って、屋根瓦の上まで出そうだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
、ここへつなぐとわかるのだろう。……だがそれにしてもこの城郭、恐ろしいほどに宏大だが、こんな宏大な城郭が、いったいどこにあるのだろう?
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我々月々の生命をつなぐ米穀野菜の類は、百姓の粒々辛苦りゅうりゅうしんくの産出物であるは言わでもの事であるが、これが夫婦共稼ぎのたまものであることを思わねばならぬ。
夫婦共稼ぎと女子の学問 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
そこで最初ノッケから手を附けた四十尺ばかりの美事な米松べいまつ棟木むなぎをコツンコツンとこなして行くうちに四十尺ブッ通しのつながった削屑アラをブッ放しちゃったんで
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫人と信一郎とを結び付けてゐる細い/\蜘蛛の糸のやうな、つなぎであつた。尤も、どんなに細くとも、蜘蛛の糸には、それ相応の粘着力はあるものだが。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
なに指ぐらい打切ぶちきられたって、たけえ給金を取って命いつなごう、なに指い切ったってはア命には障らねえからって、得心して奉公に来て、つい粗相で皿を打毀ぶちこわすと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この三人は、実が長く家を留守にした間、互に艱難かんなんめ尽したという心の結合むすびつきが有る。弱いお倉、病身の宗蔵は、わずかに三吉を力にして、生命いのちつないで来たようなものだった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つなぐような無法なことは、武家方のすることじゃねえ。腕が出来ても、腹の出来ない人間というものは、どこかで尻尾を出すんだね。それに気の付かなかった、俺の間抜けさはどうだ
其処そこで野郎も考へたと見える、いつそ俺と云ふものが無かつたら、女房も赤児あかんぼも世間の情の陰でかへつて露の命をつなぐことも出来ようツてんで、近所合壁へ立派に依頼状たのみじやうのこして、神田川で土左衛門よ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と友三郎さんが話の途切れをつないだ時
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
夫人と信一郎とを結び付けている細い/\蜘蛛くもの糸のような、つなぎであった。もっとも、どんなに細くとも、蜘蛛の糸には、それ相応の粘着力はあるものだが。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
……それから上手に頭葢骨をつないで、そっと生皮をかぶせるのじゃ。……何んでもない、何んでもない
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あゝ/\我はかる無人の島に漂うて辛うじて命をつなるに、あだ日々夜々ひゞよゝに歓楽を極めてることであろう、に浮世とは申しながら、天はさま/″\に人をあやつるものかな、蟠龍軒よ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五※も実って、貴方様あんたさまも私も命いつないで、物を喰って生きていられるだア、其の大事でえじなこれ人間が、粗相で皿ア毀したからって、指を切って不具かたわにするという御先祖様の御遺言ごゆいごんを守るだから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)