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絹帽
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シルクハット
ふりがな文庫
“
絹帽
(
シルクハット
)” の例文
黒塗
(
くろぬり
)
のランドーの
蓋
(
おおい
)
を、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には
絹帽
(
シルクハット
)
が一つ、美しい
紅
(
くれな
)
いの
日傘
(
ひがさ
)
が一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
絹帽
(
シルクハット
)
に星のついたのを冠っている老翁の寝部屋に一つの尾長猿が這入って来ているところが先ず画いてある。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
多くの文人中には大臣の園遊会に招かれて
絹帽
(
シルクハット
)
を被って出掛けるものも一人や二人あるようになったのは、文人の社会的位置が昔から比べて重くなった証拠であるが
二十五年間の文人の社会的地位の進歩
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ベヤテンベルクの斜面は、草原か、斜めに浴びた月光に、
絹帽
(
シルクハット
)
を逆か撫でしたような光沢がある。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
私等
(
あっしら
)
の馬車に乗っている黒い
頬鬚
(
ほおひげ
)
を
生
(
はや
)
した
絹帽
(
シルクハット
)
の馭者がチョット
鞭
(
むち
)
を揚げて合図みたいな真似をすると、どの巡査もどの巡査も直ぐにクルリと向うを向いて行っちまったんです。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
緑ばんだ金色の
夕映
(
ゆうばえ
)
の名残を背景にして黒い人間の姿が影絵のように立っているのを彼は見た。妙な
絹帽
(
シルクハット
)
をかぶった男で肩に大きな
鋤
(
すき
)
を担いでいる。その取合せが妙にかの
寺男
(
てらおとこ
)
を思わせた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
絹帽
(
シルクハット
)
を
潰
(
つぶ
)
したような帽子を
被
(
かぶ
)
って美術学校の生徒のような服を
纏
(
まと
)
うている。太い
袖
(
そで
)
の先を
括
(
くく
)
って腰のところを帯でしめている。服にも模様がある。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
徳市はフロックコートに
絹帽
(
シルクハット
)
を冠って花束を持って楽屋に待っていた。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
けれどもちょっと
敷居際
(
しきいぎわ
)
にとまるだけでけっして中へは
這入
(
はい
)
らなかった。「
仕度
(
したく
)
はまだか」とも催促しなかった。彼はフロックに
絹帽
(
シルクハット
)
を
被
(
かぶ
)
っていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行きがけに気のつかなかったその精養軒の入口は、五色の旗で
隙間
(
すきま
)
なく飾られた綱を、いつの間にか縦横に渡して、
絹帽
(
シルクハット
)
の客を
華
(
はな
)
やかに迎えていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あとから、
脳巓
(
のうてん
)
の
禿
(
は
)
げた大男が
絹帽
(
シルクハット
)
を大事そうに抱えて身を横にして女につきながら、二人を
擦
(
す
)
り抜ける。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
絹帽
(
シルクハット
)
にフロックコートで勇ましく官邸の
石門
(
せきもん
)
を出て行く細君の父の姿を鮮やかに思い浮べた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誠吾と代助は申し合せた様に、白い
手巾
(
ハンケチ
)
を出して額を
拭
(
ふ
)
いた。
両人
(
ふたり
)
共重い
絹帽
(
シルクハット
)
を
被
(
かぶ
)
っている。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私の
立居
(
たちい
)
が自由になると、
黒枠
(
くろわく
)
のついた
摺物
(
すりもの
)
が、時々私の机の上に載せられる。私は運命を苦笑する人のごとく、
絹帽
(
シルクハット
)
などを
被
(
かぶ
)
って、葬式の供に立つ、
俥
(
くるま
)
を
駆
(
か
)
って
斎場
(
さいじょう
)
へ
駈
(
か
)
けつける。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は男の
後
(
あと
)
を見え隠れにここまで
跟
(
つ
)
いて来て、また見たくもない唐物屋の店先に飾ってある
新柄
(
しんがら
)
の
襟飾
(
ネクタイ
)
だの、
絹帽
(
シルクハット
)
だの、
変
(
かわ
)
り
縞
(
じま
)
の
膝掛
(
ひざかけ
)
だのを
覗
(
のぞ
)
き込みながら、こう遠慮をするようでは
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行列の中には
怪
(
あや
)
し
気
(
げ
)
な
絹帽
(
シルクハット
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
に
被
(
かぶ
)
って、耳の御蔭で目隠しの難を
喰
(
く
)
い
止
(
と
)
めているのもある。
仙台平
(
せんだいひら
)
を窮屈そうに
穿
(
は
)
いて
七子
(
ななこ
)
の紋付を人の着物のようにいじろじろ
眺
(
なが
)
めているのもある。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
傍
(
そば
)
に
絹帽
(
シルクハット
)
が二つ並んで、その一つには葉巻の
煙
(
けむ
)
りが輪になってたなびいている。向うの隅に
白襟
(
しろえり
)
の細君が
品
(
ひん
)
のよい五十
恰好
(
かっこう
)
の婦人と、
傍
(
わ
)
きの人には聞えぬほどな低い声で何事か
耳語
(
ささや
)
いている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒くなった床柱の
傍
(
わき
)
の違い棚に、
絹帽
(
シルクハット
)
を引繰返しに、二つ並べて置いて見て、代助は妙だなと云った。
然
(
しか
)
し明け放した二階の間に、たった二人で
胡坐
(
あぐら
)
をかいているのは、園遊会より却て楽であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
絹帽
(
シルクハット
)
で鰻屋へ行くのは始めてだな」と代助は
逡巡
(
しゅんじゅん
)
した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
絹
常用漢字
小6
部首:⽷
13画
帽
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
“絹帽”で始まる語句
絹帽子