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ゆうきつむぎ
ふりがな文庫
“
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)” の例文
和服の時は
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
か大嶋に無地の羽織を着、いつも角帯をキリリと締めた町人いでたちで、一見商店の若旦那と云う恰好をしていた。
客ぎらい
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
西宮は三十二三歳で、むッくりと肉づいた
愛嬌
(
あいきょう
)
のある丸顔。
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の小袖に同じ羽織という
打扮
(
いでたち
)
で、どことなく商人らしくも見える。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
客は五十五、六だろう、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の袷に
羽折
(
はおり
)
、
紺献上
(
こんけんじょう
)
の博多の帯をしめて、白
鞣
(
なめ
)
しの革の緒をすげた麻裏をはいていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたしは果してわたしの望むが如くに、
唐桟縞
(
とうざんじま
)
の旧衣を脱して
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
新様
(
しんよう
)
に追随する事ができたであろうか。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
製作に困難もあるでしょうが、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の場合のように、正しい仕事はいつか大きな味方を得るでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
やはり黒木綿の紋付羽織に、兄の
紀念
(
かたみ
)
とかいう二十年来
着古
(
きふ
)
るした
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の綿入を着たままである。いくら結城紬が丈夫だって、こう着つづけではたまらない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男は八丈の
棒縞
(
ぼうじま
)
の着物に、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の羽織を着ていたが、役者らしい
伊達
(
だて
)
なところは少しもないのですよ。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
老舗
(
しにせ
)
の小旦那といった風体で、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
藍微塵
(
あいみじん
)
に
琉球
(
りゅうきゅう
)
の下着、羽織は西川という堅気で渋い着つけ。
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
、赤い座布団の上へちんまり座って、ノドへ
痰
(
たん
)
ばかり
絡
(
から
)
んでいましたが、つまりはその、若い時人に怨みを買い過ぎて、近頃自分の命を狙うものがあって叶わない
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
驚いた事には、僕の知っている
英吉利人
(
イギリスじん
)
さえ、
紋附
(
もんつき
)
にセルの袴で、
扇
(
おうぎ
)
を前に控えている。Kの如き町家の子弟が
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
二枚襲
(
にまいがさね
)
か何かで、納まっていたのは云うまでもない。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
渋い
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
袷
(
あわせ
)
とついの羽織を重ねた日本の学者が、宗教哲学の話などをしている。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
善「
家
(
うち
)
の悴は和けえ着物でなければ着ないのさ、なアにこれは
平常着
(
ふだんぎ
)
で、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
だ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
藍縦縞
(
あいたてじま
)
の
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の、仕立てのよいのをピチリと着け、帯は巾狭の一重
博多
(
はかた
)
、水牛の筒に珊瑚の根締め、わに革の煙草入れを腰に差し、微笑を含んで話す様子が、途方もなくいきであった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
仮髪
(
かつら
)
は前幕の通にて、着附は茶の細い
弁慶縞
(
べんけいじま
)
(木綿と見するも、実は姿を好くするため、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
を用ゐる)に、
浅黄
(
あさぎ
)
のもうか木綿の裏ついたる
袷
(
あわせ
)
と白紺の弁慶の縞の太さ一寸八分なる
単衣
(
ひとえ
)
とを重ね
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
派手な
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
一重物
(
ひとえもの
)
に、
桐
(
きり
)
の落葉の
刺繍
(
ししゅう
)
を置いた
黒繻子
(
くろじゅず
)
の帯をしめて、例によって艶々とした丸髷のつむりをふせ、ベッドの純白のシーツの上に、フーワリと腰をおろしていたが、洋風の調度と
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのうち
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に、
縞絽
(
しまろ
)
の羽織を着た、五十恰好の赤ら顔の男が、「どうです、皆さん、切角出してあるものですから」と云って、杯を手に取ると、方方から手が出て、杯を取る。
割箸
(
わりばし
)
を取る。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
値が
嵩
(
かさ
)
むのは止むを得ません。しかしこのやり方が世人の信用を博し、「
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
」といえば、本ものだという定評を作りました。そのためこの
紬織
(
つむぎおり
)
への需用は絶えません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私
(
わっち
)
さ、
扮装
(
なり
)
を
拵
(
こしら
)
えるね
此様
(
こん
)
な
扮装
(
いでたち
)
じゃアいけないが
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の茶の
万筋
(
まんすじ
)
の着物に上へ
唐桟
(
とうざん
)
の
縞
(
らんたつ
)
の通し襟の
半※
(
はんてん
)
を
引掛
(
ひっか
)
けて
白木
(
しろき
)
の三尺でもない、それより
彼
(
あ
)
の子は
温和
(
おとなし
)
い方が好きですかねえ
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
縦縞の
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
、商人じみた風采であった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
亭「そんなに
良
(
い
)
いのはいりません、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の着物に、
絹紬
(
けんちゅう
)
の羽織で宜しい」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「恐らくそれは
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
であろう」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
善「これ忰のを貸してやれ、
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
のが宜しい」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“結城紬”の解説
結城紬(ゆうきつむぎ)とは、茨城県・栃木県を主な生産の場とする絹織物。単に結城ともいう。奈良時代から続く高級織物で、本結城の工程は国の重要無形文化財。近現代の技術革新による細かい縞・絣を特色とした最高級品が主流である。元来は堅くて丈夫な織物であったが、絣の精緻化に伴い糸が細くなってきたため、現在は「軽くて柔らかい」と形容されることが多い。
(出典:Wikipedia)
結
常用漢字
小4
部首:⽷
12画
城
常用漢字
小4
部首:⼟
9画
紬
漢検準1級
部首:⽷
11画
“結城”で始まる語句
結城
結城縞
結城左京
結城朝之助
結城秀康
結城木綿
結城哀草果
結城殿
結城揃
結城郡