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紺暖簾
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こんのれん
ふりがな文庫
“
紺暖簾
(
こんのれん
)” の例文
紺暖簾
(
こんのれん
)
を深々と掛け連ねて、近頃出來乍ら、當時江戸中に響いた『
唐花屋
(
たうばなや
)
』といふ化粧品屋、何の氣もなく表へ出した金看板を讀むと
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
色の褪めた
紺暖簾
(
こんのれん
)
の古びと、宵々毎に透きなく立ちならぶ、古道具だの日用品だのの露店にまじっての、すしやの屋台、天麩羅の屋台
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
空駕籠をかついで
仲町
(
なかまち
)
から
飯倉片町
(
いいぐらかたまち
)
のほうへやって来ると、おかめ
団子
(
だんご
)
のすじかいに、
紺暖簾
(
こんのれん
)
に『どぜう汁』と白抜にした、名代の泥鰌屋。
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
蠣殻
(
かきがら
)
町二丁目の家から水天宮裏の有馬学校へ通って居た時分———人形町通りの空が霞んで、軒並の
商家
(
あきうどや
)
の
紺暖簾
(
こんのれん
)
にぽか/\と日があたって
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
直樹の父親の
旦那
(
だんな
)
は、
伝馬町
(
てんまちょう
)
の「大将」と言って、
紺暖簾
(
こんのれん
)
の影で
采配
(
さいはい
)
を振るような人であったが、その「大将」が自然と実の旦那でもあった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
のみならずまだ新しい
紺暖簾
(
こんのれん
)
の紋も
蛇
(
じゃ
)
の
目
(
め
)
だった。僕らは時々この店へ主人の清正を
覗
(
のぞ
)
きに行った。清正は短い
顋髯
(
あごひげ
)
を
生
(
は
)
やし、
金槌
(
かなづち
)
や
鉋
(
かんな
)
を使っていた。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かつ散る
紅
(
くれない
)
、
靡
(
なび
)
いたのは、夫人の
褄
(
つま
)
と軒の
鯛
(
たい
)
で、鯛は
恵比寿
(
えびす
)
が
引抱
(
ひっかか
)
えた処の絵を、色は
褪
(
あ
)
せたが
紺暖簾
(
こんのれん
)
に染めて掛けた、一軒(
御染物処
(
おんそめものどころ
)
)があったのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
本所二つ目の小間物屋善兵衛は、ついこの頃、
紺暖簾
(
こんのれん
)
をここに
懸
(
か
)
けたばかりの小さい店だった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
店屋つづきの
紺暖簾
(
こんのれん
)
に
陽炎
(
かげろう
)
がゆらいで、
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
でも迷い出そうな季節はずれの陽気。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
藁葺
(
わらぶ
)
きの古びたる二重家体。破れたる壁に舞楽の面などをかけ、正面に
紺暖簾
(
こんのれん
)
の出入口あり。下手に炉を切りて、素焼の
土瓶
(
どびん
)
などかけたり。庭の入口は竹にて編みたる門、外には柳の大樹。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
応
(
こた
)
えながら葉子は初めてのようにあたりを見た。そこには
紺暖簾
(
こんのれん
)
を所せまくかけ渡した紙屋の小店があった。葉子は取りあえずそこにはいって、人目を避けながら顔を洗わしてもらおうとした。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
酒は自分では飲まないが、
心易
(
こころやす
)
い友達に飲ませるときは、
好
(
すき
)
な饂飩を買わせる。これも焼芋の釜の据えてある角から二三軒目で、色の
褪
(
さ
)
めた
紺暖簾
(
こんのれん
)
に、文六と染め抜いてある家へ買いに
遣
(
や
)
るのである。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
舞の手を師のほめたりと
紺暖簾
(
こんのれん
)
入りて母見し日もわすれめや
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
馬場裏を出はずれて、三の門という古い城門のみが残った大手の通へ出ると、
紺暖簾
(
こんのれん
)
を軒先に掛けた染物屋の人達が居る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
吉良家の裏門前にある小間物屋の店には、もうあのなつかしい
紺暖簾
(
こんのれん
)
は見えなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家なみの
庇
(
ひさし
)
や
紺暖簾
(
こんのれん
)
に飛びちがえる
燕
(
つば
)
くろの腹が、花ぐもりの空から落ちる九つどきの
陽
(
ひ
)
ざしを切って、白く飜えるのを夢みるような眼で、女は下からながめて行った。これも祭の景物であろう。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
目白坂の
降口
(
おりくち
)
に、
紺暖簾
(
こんのれん
)
を深々と掛け連ねて、近頃出来ながら、当時江戸中に響いた「
唐花屋
(
からはなや
)
」という化粧品屋、何の気もなく表へ出した金看板を読むと、一枚は「——おん薬園へちまの水——」
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日に光る
甍
(
いらか
)
、黒い蔵造りの家々、古い新しい
紺暖簾
(
こんのれん
)
は行く先に見られる。その辺は大勝の店のあるあたりに近い。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
というのは、何不自由もない父の全盛期であったのに、家に大工が入って、表門も玄関も改造しはじめ、ぼくの家はとつぜん“みどり屋”という
紺暖簾
(
こんのれん
)
を掛けた雑貨店に変り出したのである。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢屋とした
紺暖簾
(
こんのれん
)
の見える麩屋町のあたりは静かな時だ。正香らが店の入り口の腰高な障子をあけて訪れると、左方の
帳場格子
(
ちょうばごうし
)
のところにただ一人留守居顔な亭主を見つけた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
軒の
紺暖簾
(
こんのれん
)
が
卸
(
おろ
)
されてから間もない宵のうち。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紺
常用漢字
中学
部首:⽷
11画
暖
常用漢字
小6
部首:⽇
13画
簾
漢検準1級
部首:⽵
19画
“紺”で始まる語句
紺
紺青
紺碧
紺屋
紺絣
紺飛白
紺足袋
紺羅紗
紺青色
紺地