まい)” の例文
余儀なく、馬籠の町内をはじめ、荒町、峠村では、ごく難渋なものへ施しまいでも始めねばなるまいと言って騒いでいるほどの時だ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この間は御文下され、観音様の御せんまい三日のうち精進しょうじんにていただき候ようとの御事、御深切の御こころざし感じ入り申し候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
願の通りその御扶持まいめしか粥になって来れば、私は新銭座しんせんざ私宅近処きんじょの乞食にふれを出して、毎朝来い、わしてると申して、私が殿様から戴いた物を
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし人手がなくって餌を煮られないという場合には掃寄はきよまいか小麦のしいななんぞを与えてもようございます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それでも、お雪ちゃんにしても、久助さんにしても、おすくまいを貰いに行く気にはなれないのです。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぽんぽちまいを食つてゐた痩侍やせざむらひの膏を吸つたのだ。米價を釣りあげて細民を餓ゑさせた餘徳だ。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
夜食にあゆのフライが出た。日本の様な風味だ。にはとりにあしらつた米も日本まいの様に美味うまかつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
たかがぽんぽちまい少々で命と取換えてたまるものか。私はもとより忠義でないが恩知らずとはいいなさんな。するだけのことをすれば可いのさ。何と老爺様おじいさん一言も無かろうね。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼等は、今まで軽蔑し切っていた宵越しの銭をためる連中と一所いっしょに、往来に並んでおすくまいを貰わなければならなかった。焼けたトタンを以って乞食小屋を作らなければならなかった。
娘は表向の御新造ごしんぞとして、内々ない/\ところは其の女を御新造として置いてもいゝ、わたくしが取る分まいを其の女にやりますから宜しい、わたくしが行って其の女に逢って頼みましょう、其の女は何者じゃ
イヤ実際、五百や六百石のこぼれまいを貰って朝夕糊付のりづけのかみしもで、寒中に足袋たび一つはくのにも、奉書のお届を出さなければ足袋がはけないなんていうような幕府勤めはまッぴらでござるよ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「身共のこの傷、何と心得おるかッ。百石二百石のはしたまいでは、しみじみお目にもかかれぬ傷じゃ。よう見い。のう! 如何どうぞ! わははは。ずうんときもにこたえたと見ゆるな。——遠藤侯!」
「二升まい食うやつあるか。」と参右衛門は呶鳴どなりつけた。
櫓声ろせいして高らかに唱連うたいつれて、越中まいを満載したる五六そうの船はこぎ寄せたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それには各宿各村とも囲いまいの用意をして非常の時に備えよと触れ回った。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
右につき年々お救いまいならびに増しお救い金等下しおかれ、おかげをもって引き続き相勤め来たり候えども、近年馬買い入れ値段格外に引き揚げ、仕替馬買い入れの儀も少金にては行き届かず
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)