“節制(だらし)” の例文
彼(かれ)には庭(には)の節制(だらし)のない騷(さわ)ぎの聲(こゑ)が其(そ)の耳(みゝ)を支配(しはい)するよりも遠(とほ)く且(かつ)遙(はるか)な闇(やみ)に何物(なにもの)をか搜(さが)さうとしつゝあるやうに只(たゞ)惘然(ばうぜん)として居(ゐ)るのであつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
威勢(ゐせい)よく成(な)つた老人等(としよりら)は赤(あか)い胴(どう)の太鼓(たいこ)を首筋(くびすぢ)から胸(むね)へ吊(つ)つて、だらり/\と叩(たゝ)いて先(さき)に立(た)つと足(あし)もと手(て)もと節制(だらし)なくなつた凡(すべ)てが後(あと)から/\と、殊(こと)に婆(ばあ)さん等(ら)は騷(さわ)ぎながら跟(つい)て出(で)る。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼等(かれら)は孰(いづ)れも、まだぐつすりと眠(ねむ)つて居(ゐ)る家族(かぞく)の者(もの)には竊(そつ)と支度(したく)をして、動(うご)けぬ程(ほど)褞袍(どてら)を襲(かさ)ねて節制(だらし)なく紐(ひも)を締(し)めて、表(おもて)の戸(と)を開(あ)けるとひやりとする曉(あけ)近(ちか)い外氣(ぐわいき)に白(しろ)い息(いき)を吹(ふ)きながら
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)