程近ほどちか)” の例文
そのうちに、子供こどもおおきくなったものですから、このむらから程近ほどちかい、まちのある商家しょうかへ、奉公ほうこうさせられることになったのであります。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
言葉ことばはまたしばらく途切とぎれた。と、程近ほどちかくのイギリス人のいへでいつとなくりはじめたピヤノのが、その沈默ちんもくをくすぐるやうに間遠まとほこえて※た。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
当時とうじ江戸えどでは一ばんだという、その笠森かさもり水茶屋みずぢゃやむすめが、どれほどすぐれた縹緻きりょうにもせよ、浪速なにわ天満天神てんまんてんじんの、はしたもと程近ほどちか薬種問屋やくしゅどんや小西こにし」のむすめまれて、なにひとつ不自由ふじゆうらず
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
其頃岡崎から程近ほどちか黒谷くろたに寺中ぢちう一室ひとまを借りて自炊じすゐし、此処こヽから六条の本山ほんざんかよつて役僧やくそう首席しゆせきを勤めて居たが、亡くなつた道珍和上とも知合しりあひであつたし、う云ふ碩学せきがく本山ほんざんでもはばいた和上わじやう
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
三ツ許りこしらへ呉よと頼み置き床房ふしどへ入てやすみける其夜丑滿うしみつの頃に起出おきいでて彼の握り飯を懷中くわいちうなし兼て奪取うばひとりし二品を所持しよぢし最早夜明に程近ほどちか緩々ゆる/\と行べしと下男善助に暇乞し感應院をぞ立出たちいでたりなれしみちとてやみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)