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ほどちか
其頃岡崎から
程近い
黒谷の
寺中の
一室を借りて
自炊し、
此処から六条の
本山に
通つて
役僧の
首席を勤めて居たが、亡くなつた道珍和上とも
知合であつたし、
然う云ふ
碩学で
本山でも
幅の
利いた
和上を
三ツ許り
拵へ呉よと頼み置き
床房へ入て
休ける其夜
丑滿の頃に
起出て彼の握り飯を
懷中なし兼て
奪取し二品を
所持し最早夜明に
程近し
緩々と行べしと下男善助に暇乞し感應院をぞ
立出たり
馴路とて
闇を