石山いしやま)” の例文
そこで小児こどもは、鈴見すずみの橋にたたずんで、前方むこうを見ると、正面の中空なかぞらへ、仏のてのひらを開いたように、五本の指の並んだ形、矗々すくすく立ったのが戸室とむろ石山いしやま
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
石山いしやま周囲しゅういで、こんなことをいっていると、また、ゴーッ、ゴーッと、トロッコが、かぜってはしってくるおとがしました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
罪人ざいにん石山いしやまの絶頂から生きながら棄てた断崖も名所としてのこつて居るさうだ。釈迦の歯の真物ほんものは異教徒に焼かれて今のは象牙で偽作した物だと聞いた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
三六 猿の経立ふつたち御犬おいぬの経立は恐ろしきものなり。御犬とは狼のことなり。山口の村に近きふた石山いしやまは岩山なり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
旅費と閑暇ひまとはかなり持合はせてゐる人達の事とて、それぞれの名所を言ひ伝への文句通りに見物しようといふのだ。石山いしやまには名月の態々わざ/\訪ねて往つた。
彼等は導かれて石山氏の広庭に立った。トタンぶきの横長い家で、一方には瓦葺の土蔵どぞうなど見えた。しばらくすると、草鞋ばきの人が出て来た。私が石山いしやま八百蔵やおぞうと名のる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
莫大ばくだいな信徒と富力と、しかも兵力さえ持っている大坂石山いしやまの本願寺か。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右の方に愛宕山あたごさん宮島みやしま村、野上のかみ村、石山いしやま(地名)など追続おひつゞきてあり。
石山いしやまいたゞきぢ登り
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
三六 猿の経立ふったち御犬おいぬの経立は恐ろしきものなり。御犬おいぬとはおおかみのことなり。山口の村に近きふた石山いしやまは岩山なり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
キヤンデイは昔の錫崙セイロン王の都で、峨峨ががたる石山いしやまに取囲まれた要害の地だけに最後迄英軍に反抗した古戦場だ。英軍が気長に洞道トンネルを切り開いたのでやうやく陥落したのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
戸室とむろ石山いしやまの麓がすぐながれに迫るところで、かさなり合った岩石だから、路は其処そこで切れるですものね。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
右の方に愛宕山あたごさん宮島みやしま村、野上のかみ村、石山いしやま(地名)など追続おひつゞきてあり。
そこは——摂州せっしゅう東成郡ひがしなりごおり石山いしやまおか、すなわち、大坂城おおさかじょう造営ぞうえいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かの高き石山いしやま彼方かなた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
市街のむかつて右の石山いしやまの上にはノオトル・ダムの尖塔と黄金の女神ぢよしん像とがそびえて居る。大洋にむかつて石垣の一横線わうせんを築いた新港しんみなとの規模の偉大な事はコロムボの築港などの及ぶ所で無いと想はれる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)