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めがしら
ふりがな文庫
“
眼頭
(
めがしら
)” の例文
そして両手で腹を抱へて
可笑
(
をか
)
しさに溜らぬやうに肩を
揺
(
ゆす
)
ぶつてゐたが、
終
(
しま
)
ひには
眼頭
(
めがしら
)
に涙を一杯溜めて椅子の上を転げ廻つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼は首を仰向けにして、ぼんの
窪
(
くぼ
)
で苦痛を押えていると悲しい涙が
眼頭
(
めがしら
)
から瞼へあふれずにひそかに鼻の洞へ伝って行った。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
慈善のことが話題にのぼると、慈善についても実に立派な意見を述べて、あまつさえ
眼頭
(
めがしら
)
に涙さえ浮かべたものだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
読んでゆくうちに、法水の
眼頭
(
めがしら
)
が、じっくと
霑
(
うる
)
んでいった。しばらくは声もなくじっと見つめているのを、検事は醒ますように、がんと肩をたたいた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
母は水際にしゃがんで、
眼頭
(
めがしら
)
を抑えています。そして小作人の妻が寄り添って、
頻
(
しき
)
りに母を慰めているのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
まあ彼女たちはどんなに目を
赫
(
かがや
)
かす事だろう……と、そんな事を考えているうちに、ふいと
眼頭
(
めがしら
)
の熱くなりそうになった目をいそいで脇へ転じると、其処では
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
医者へもゆけず、ぐるぐるにおしまいた
繃帯
(
ほうたい
)
に血が
滲
(
にじ
)
み出ているのが、黒い塀を越して来る外光に映し出されて、いやに
眼頭
(
めがしら
)
のところで、チラチラするのである。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
自分たちの身へ
直
(
じ
)
かに迫って来ることのように、熱いものが、胸から
眼頭
(
めがしら
)
へ突きあげて来るのであった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして顫えながら大きく頷くと、蜂須賀巡査は、今度は探るような
眼頭
(
めがしら
)
で雄太郎君を見詰めながら
石塀幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
また
眼頭
(
めがしら
)
の陰が、なんと濃くなったことか。透き通るような額の眉の上には、あの薄青い脈管が、せつなげにまた危ぶませるように、ますますはっきりと浮き出てきた。
トリスタン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
音もない風が、梢から転び落ちると、
恰度
(
ちょうど
)
跼み込んだ女生徒のスカートを、ひらりと
反
(
かえ
)
したのです。ハッとした秀三郎は、僅かの間でしたが、
眼頭
(
めがしら
)
の熱くなるのを感じました。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
どうしてあんな
気障
(
きざ
)
な事を言ったのだろう。いま考えてみると夢のような気がする。僕は泣こうと思った。しかし、ちょっと
眼頭
(
めがしら
)
が熱くなっただけで、涙は一滴も出なかった。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
嘉三郎は手紙を読みながら、
咽喉
(
のど
)
をごくりごくりと鳴らして、何度も唾を
嚥
(
の
)
み下した。そのうちに両手がわなわなと
顫
(
ふる
)
え出して来た。そして彼の
眼頭
(
めがしら
)
には、ちかちかと涙さえ光って来た。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
顔
(
かお
)
はとうに
洗
(
あら
)
っていたが、
藤吉
(
とうきち
)
の
眼頭
(
めがしら
)
には、
目脂
(
めやに
)
が
小汚
(
こぎた
)
なくこすり
付
(
つ
)
いていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
何かしら
眼頭
(
めがしら
)
が熱くなるのを覚えたのであったが、妙子のそれと云わぬ心づくしは、雪子にも分ったと見えて、彼女にしては珍しくその晩は打ち興じて、割合によくしゃべりもし、笑いもした。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ダラリと袖を欄干へ垂らし、ぼんやり
河面
(
かわも
)
を眺めやった。やはり都鳥が浮かんでいた。やはり舟がとおっていた。皆々他人であった。急に
眼頭
(
めがしら
)
がむず
痒
(
がゆ
)
くなった。眼尻がにわかに熱を持って来た。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それは立派な覚悟だ」浩は熱い
眼頭
(
めがしら
)
を、
拳
(
こぶし
)
で
拭
(
ぬぐ
)
いながら返事をした。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ええ。」と返事はしたものの、あたたかく
眼頭
(
めがしら
)
がうるんで来た。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
焼けつくように私の
眼頭
(
めがしら
)
にしみ込んだ
明日はメーデー
(新字新仮名)
/
槙村浩
(著)
私達も
眼頭
(
めがしら
)
があつくなつた。
釣十二ヶ月
(新字旧仮名)
/
正木不如丘
(著)
時々は光を失いかけるようなまなざしと——なおその
眼頭
(
めがしら
)
は、細い鼻根の両側で、深い陰に蔽われている——それから唇の輪郭が、きわめて鋭くくっきりしているせいか
トリスタン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
閉じた太郎左衛門の
眼頭
(
めがしら
)
からも、涙がバラバラと膝に落ちた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あまりに生々しいそれに、
眼頭
(
めがしら
)
が痛くなったのだ。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
が、
眼頭
(
めがしら
)
が熱く
潤
(
うる
)
んで来るのを覚えた。
山茶花
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
傍らで妻も、
眼頭
(
めがしら
)
を拭いている。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“眼”で始まる語句
眼
眼鏡
眼前
眼瞼
眼差
眼窩
眼球
眼眸
眼色
眼力