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目路
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めじ
ふりがな文庫
“
目路
(
めじ
)” の例文
目路
(
めじ
)
のたかさに
舂
(
うすづ
)
いた陽は、木蔭や藪の底にひそんでいた冷い空気を呼び寄せた。馬は汗を流しているが、心のなかは寒いのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
間もなく病的に
蒼褪
(
あおざ
)
めた
臼
(
うす
)
のような馬の大きな頭が、わたしの
目路
(
めじ
)
ちかくに鼠色とはいえ明色ではない
悒々
(
ゆうゆう
)
しい影をひいて
停
(
とま
)
った。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
西北の風がそよそよと吹く好晴の日には、
目路
(
めじ
)
のはてにそそり立つ高い山の
巓
(
いただき
)
を、赤蜻蛉が列を作ってすいすいと飛び越して行くのが面白いと思った。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
列島の
彼方
(
かなた
)
に別にエメラルドの色をたたえているのは
八代
(
やつしろ
)
海である。けれども今
目路
(
めじ
)
の限り、紫がかった薄絹の
帷
(
とばり
)
の
様
(
よう
)
に、
朝霞
(
あさかすみ
)
が一面に棚引いているのだ。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
紆曲
(
うねり
)
の緩やかな笹山が、
目路
(
めじ
)
を遮る何ものもなく、波うちつづく。遙か遙か下界に、八月の熱気でぼーっと、水色がかった真珠色に霞んだ地平が見晴せた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
大
(
おほい
)
なる都會を
埋
(
うづ
)
め
盡
(
つく
)
さうとする埃!………其の埃は今日も東京の空に
漲
(
みなぎ
)
ツて、
目路
(
めじ
)
の
涯
(
はて
)
はぼやけて、ヂリ/″\
照
(
て
)
り付ける
天日
(
てんぴ
)
に
焦
(
こ
)
がされたやうになツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
半ばは銀色に輝き、半ばは
漆黒
(
しっこく
)
の大円柱が、
目路
(
めじ
)
の限り打続く光景は、いとも見事なものでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
思いは遠く走って、那須野の、一望に青んだ畑や、
目路
(
めじ
)
のはての、村落をかこむ森の色を思いうかべます。
御住居
(
おすまい
)
は、夏の風が青く吹き通していることと思います。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
風浪の日はおそろしいが、晴れた日は、山をめぐる白雲、太古の密林、そして、
目路
(
めじ
)
のかぎりな芦の
州
(
す
)
から
葭
(
よし
)
の
汀
(
なぎさ
)
とつづいて、まるで唐画の“
芦荻山水
(
ろてきさんすい
)
”でも見るような風光だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高台のそこからは、大東京の半分が見わたせ、
目路
(
めじ
)
の限り家々の群落である。薄ぐもりの空の下に限りなくつづく小さな屋根屋根は、空のはてるまでつらなりかさなって、雲の中にぼかされていた。
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
大江戸は、
目路
(
めじ
)
の限り、黒い布をひろげたような濃い闇です。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そとの浜
千
(
ち
)
さとの
目路
(
めじ
)
に
塵
(
ちり
)
をなみすずしさ広き
砂上
(
すなのうえ
)
の月
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
大沼小沼の在所もほぼ
目路
(
めじ
)
に
辿
(
たど
)
られ、あの辺から奥へ
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
黄な蝶のつういと飛べば
目路
(
めじ
)
も黄に
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
野に低く雲がおりて
目路
(
めじ
)
を
蔽
(
おお
)
った。青い草の海は逆巻くのだ。行く手にふさがる樹林や丘陵は測りがたい悪路を示していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
太い赤まんまの花や
紫苑
(
しおん
)
のような紫の野菊を。そうやってつまれるこまかい野の花々は伸子のこころを鎮め、広い地平線の眺めは伸子の
目路
(
めじ
)
をはるかにした。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
東北から東にかけては、山また山が
目路
(
めじ
)
の果まで続いているが、
纔
(
わずか
)
に妙高火山群と戸隠の連峰とが識別されるのみである、独り浅間山のみは東南に離れて悠然と烟を吐いている。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
空はやっぱり一面の黒雲に覆われ、風はなし、
目路
(
めじ
)
の限りの花の山は、
銀鼠色
(
ぎんねずみいろ
)
に眠って、湯の池に
漣
(
さざなみ
)
も立たず、そこにゆあみする数十人の裸女の群さえ、まるで死んだ様におし黙っているのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
目路
(
めじ
)
をさえぎる灰色の雪が雲海のように
蔽
(
おお
)
いかぶさり、吹きあげた粉末の雪の中には降りつける粒雪を見た。いよいよこれは、ある日
忽然
(
こつぜん
)
と襲う吹雪が原野に暴れだしたと思われる。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
目路
(
めじ
)
のかぎり島もなく、船もなく、ただ空と水ばかりであった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“目”で始まる語句
目
目的
目出度
目前
目標
目貫
目覚
目論見
目下
目論