痛々いた/\)” の例文
のおなじ火事くわじに、靈岸島れいがんじまは、かたりぐさにするのも痛々いた/\しくはゞかられるが、あはれ、今度こんど被服廠ひふくしやうあとで、男女だんぢよ死體したい伏重ふしかさなつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
望の盡きた心と弱り果てた身體に似つかはしい聲で——痛々いた/\しく細いどもり勝ちの聲——で、私はもしや召使がお入用ではないかと訊ねた。
病人びやうにんはK夫人ふじんかほしたで、小兒こどものやうにあごうなづいてせた。うへはう一束ひとたばにしたかみが、彼女かのぢよを一そう少女せうぢよらしく痛々いた/\しくせた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
しかしあのあか水々みづ/″\したは、ながい/\野山のやまゆきえるまでのあひだを、かみ小鳥達ことりたち糧食りやうしよくにとそなへられたものではないかとおもふと、痛々いた/\しくなたれたひとつみおそろしい。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
痛々いた/\さまをして、男のすること、言ふことには、何一つそむくまいとするらしいのが、小池にはいぢらしく、いとしく見えて來て、汽車のうちで考へたやうな蛇にまつはられてゐるといふ氣は消え
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
凡てはまぶし、痛々いた/\し、笑ふよしなし
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此女このをんなうへすわつて、むらさきをんなが、なゝめになよ/\とこしけた。おとしたもすそも、かゞめたつまも、痛々いた/\しいまでみだれたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)