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病苦
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びやうく
劇烈な
病苦の
爲めに
其力ない
死體はげつそりと
酷い
窶れやうをして
居た。
卯平は
只ぽつさりとしてそれを
見て
居た。
死體は
復其の
穢い
夜具へ
横へられた。
酒も
呼んだが
醉ひません。むかしの
事を
考へると、
病苦を
救はれたお
米さんに
對して、
生意氣らしく
恥かしい。
賣代なし此旅籠屋は少しの
縁由も有りけるまゝ下女に雇はれ候ふなり先頃
貴方の御
惠みに預るのみか取り分て下し給ひし一品は
富たる人の千金に
増て忘れぬ御恩なり今夜に
迫る貴方の御難儀
大概御察し申たり今夜は私が何
也とお救ひ申し參らせん御安堵あれと
請合ながらも過さりし親の
病苦や身の
憂事を
其の
窶れた
目の
憂へるのを
彼は
見るに
忍びなかつたからである。
彼のさういふ
意志は
長い
月日の
病苦に
嘖まれて
僻んだ
女房の
心に
通ずる
理由がなかつた。
と
汚い
病苦の
冷汗に……そよ/\と
風を
惠まれた、
淺葱色の
水團扇に、
幽に
月が
映しました。……