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疲弊
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ひへい
ふりがな文庫
“
疲弊
(
ひへい
)” の例文
が、たちまち一面に、民力の
疲弊
(
ひへい
)
という暗い
喘
(
あえ
)
ぎが社会の隅から夕闇のように
漂
(
ただよ
)
い出した。巷の
怨嗟
(
えんさ
)
。これはもちろん伴ってくる。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
露国との戦争が済んでから間もない頃で、日本の農村は一般に
疲弊
(
ひへい
)
していた。彼等の村はことにひどいようだった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
双方ともに国力が
疲弊
(
ひへい
)
するは必然の理で、もしその上に実際戦争でも始めたら経済上両国ともにつぶれてしまう。
戦争と平和
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
その頃のアイヌの生活はまったく
疲弊
(
ひへい
)
の一語につき、明日の糧をも知らないおぼつかない毎日が続いていた。
生きているコタンの銅像:――アイヌの慈父・高橋房次――
(新字新仮名)
/
知里真志保
(著)
就中
(
なかんずく
)
問屋の制度は生産者を極度に
疲弊
(
ひへい
)
させました。商業主義は誠実を棄てて利慾に飢えています。機械主義は手工を奪ってすべてを凝固させてしまいました。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
疲弊
(
ひへい
)
した村のことで
御布施
(
おふせ
)
の集りがよかろう
筈
(
はず
)
はない。金包みの代りに米とか野菜ですますような習慣が次第に一般にひろがって、禅僧は食うだけが漸くだった。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
専制時代の
疲弊
(
ひへい
)
堕落
(
だらく
)
せる平民の生活を
窺
(
うかが
)
ひ、身につまさるる悲哀の美感を求めし
所以
(
ゆえん
)
とす。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
上
(
かみ
)
の
驕奢
(
けうしや
)
と
下
(
しも
)
の
疲弊
(
ひへい
)
とがこれまでになつたのを見ては、己にも策の施すべきものが無い。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
如何に多くの農村
疲弊
(
ひへい
)
の原因となつてゐるか、思ひ半ばに過ぎるものがあるのです。
戦争と文化:――力としての文化 第三話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「明治も末期の頃で、農村はそろ/\
疲弊
(
ひへい
)
を感じ出していました。心あるものは海外渡航に眼を向けていた時でした。テキサス州の移民米作ということが頻りに世間の口に唱えられていました」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なに
極楽
(
ごくらく
)
へ
行
(
い
)
つて
入
(
いら
)
つしやいましたが、
近来
(
このごろ
)
極楽
(
ごくらく
)
も
疲弊
(
ひへい
)
を
仕
(
し
)
ましたから、
勧化
(
くわんげ
)
をお
頼
(
たの
)
まれで、
其事
(
そのこと
)
で
極楽
(
ごくらく
)
へ
入
(
い
)
らしつたのでございませう。岩「
極楽
(
ごくらく
)
の
勧化
(
くわんげ
)
かえ、
相変
(
あひかは
)
らず
此方
(
こつち
)
へ
来
(
き
)
てもお
忙
(
いそ
)
がしい。 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蒙古
(
もうこ
)
襲来のさい、人的や経済的にもさんざんな消耗に
疲弊
(
ひへい
)
したあげく、なんの恩賞もうけず、逆に、鎌倉幕府でうけのいい大名が
受領
(
ずりょう
)
にあずかって
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然し、その巨大なる費用のために、諸国は
疲弊
(
ひへい
)
のどん底に落ち、庶民は貧窮に苦しんでいた。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
然
(
しか
)
るに今の天下の形勢は
枝葉
(
しえふ
)
を
病
(
や
)
んでゐる。民の
疲弊
(
ひへい
)
は
窮
(
きは
)
まつてゐる。
草妨礙
(
くさばうがい
)
あらば、
理
(
り
)
亦
(
また
)
宜
(
よろ
)
しく
去
(
さ
)
るべしである。天下のために
残賊
(
ざんぞく
)
を除かんではならぬと云ふのだ。そこで其残賊だがな。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
先帝、創業いまだ半ばならずして、中道に
崩殂
(
ほうそ
)
せり。今天下三分し益州は
疲弊
(
ひへい
)
す。これ誠に危急存亡の
秋
(
とき
)
なり。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな
疲弊
(
ひへい
)
した山村では淫売がむしろ快活な労働にもなるのだろうが、見るからに快活、無邪気、陽気で、健康な女がいるのである。そういうだるまの一人がこの店にもいた。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「いま貴国の強兵を以て魏を攻めらるれば、魏は必ず
崩壊
(
ほうかい
)
を
兆
(
きざ
)
すであろう。わが蜀軍が不断に彼を打ち叩いて、
疲弊
(
ひへい
)
に導きつつあるは申すまでもありません」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし国力はかなり
疲弊
(
ひへい
)
していたものだろう。蜀将の意気もすでに
昔日
(
せきじつ
)
の比ではない。帝以下百官、城を出て魏門にひざまずき、城下の誓いを呈したのである。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さりとて彼の
頤使
(
いし
)
に甘んじて、蜀を伐つには、その戦費人力の消耗には、計り知れぬものがあり、これに
疲弊
(
ひへい
)
すれば、禍いはたちまち次に呉へ襲ってくるであろう。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日蓮宗
(
にちれんしゅう
)
の
小伽藍
(
しょうがらん
)
で、住職は老年で寝たきりだし、若い住僧が二人して維持していたが、戦乱つづきで、村は
疲弊
(
ひへい
)
しているし、
檀家
(
だんか
)
も離散するばかりなので、形こそ違うが
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉はまず朝廷の
疲弊
(
ひへい
)
しきった経済面に
貢献
(
こうけん
)
をはかり、貧しい公卿を
救恤
(
きゅうじゅつ
)
するに努めた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長年にわたる平家文化の
絢爛
(
けんらん
)
は、それだけ地方の
疲弊
(
ひへい
)
と
枯渇
(
こかつ
)
を意味している。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……かかる状態に一応現状を訂正しておいてから、呉としては、間諜を用いて徐々に曹操と玄徳との抗争をさそい、玄徳のそれに
疲弊
(
ひへい
)
してきた頃を計って荊州を奪り上げてしまえばよいのです
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、国庫の
疲弊
(
ひへい
)
とにらみ合わせて、はらはらしていた程なのである。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
農民の
疲弊
(
ひへい
)
は
甦
(
よみが
)
えってきた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
想像以上な
疲弊
(
ひへい
)
である。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
疲
常用漢字
中学
部首:⽧
10画
弊
常用漢字
中学
部首:⼶
15画
“疲弊”で始まる語句
疲弊困憊