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留南奇
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とめき
ふりがな文庫
“
留南奇
(
とめき
)” の例文
徐
(
やお
)
ら、雪のような
白足袋
(
しろたび
)
で、脱ぎ棄てた
雪駄
(
せった
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せた時、
友染
(
ゆうぜん
)
は一層はらはらと、模様の花が
俤
(
おもかげ
)
に立って、ぱッと
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
がする。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
優
(
やさし
)
い声、はッと花降る
留南奇
(
とめき
)
の薫に、お源は
恍惚
(
うっとり
)
として顔を上げると、帯も、
袂
(
たもと
)
も、
衣紋
(
えもん
)
も、
扱帯
(
しごき
)
も、花いろいろの立姿。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その気で、席へ腰を掛直すと、口を抜こうとした酒の香より、はッと
面
(
おもて
)
を打った、懐しく床しい、
留南奇
(
とめき
)
がある。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汽車の
動揺
(
どよ
)
みに
留南奇
(
とめき
)
が散って、友染の花の乱るるのを、夫人は
幾度
(
いくたび
)
も引かさね、引かさねするのであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瞳が、動いて
莞爾
(
にっこり
)
。
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
が
陽炎
(
かげろう
)
のような
糠雨
(
ぬかあめ
)
にしっとり
籠
(
こも
)
って、
傘
(
からかさ
)
が透通るか、と
近増
(
ちかまさ
)
りの美しさ。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
いまは
堪
(
たま
)
らず
蟋蟀
(
こおろぎ
)
のように飛出すと、するすると絹の音、
颯
(
さっ
)
と
留南奇
(
とめき
)
の香で、もの
静
(
しずか
)
なる人なれば、せき心にも乱れずに、
衝
(
つ
)
と白足袋で
氈
(
かも
)
を
辷
(
すべ
)
って肩を抱いて
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
馥郁
(
ふくいく
)
として、
振
(
ふり
)
を
溢
(
こぼ
)
るる
縮緬
(
ちりめん
)
も、
緋桃
(
ひもも
)
の燃ゆる春ならず、夕焼ながら
芙蓉
(
ふよう
)
の
花片
(
はなびら
)
、水に冷く映るかと、寂しらしく、独り
悄
(
しお
)
れて
彳
(
たたず
)
んだ、一
人
(
にん
)
の
麗人
(
たおやめ
)
あり。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と気軽に、すつと出る、
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
が
颯
(
さっ
)
と散つた、霧に
月
(
つき
)
射
(
さ
)
す
裳
(
もすそ
)
の
影
(
かげ
)
は、絵で見るやうな
友染
(
ゆうぜん
)
である。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
婀娜
(
あだ
)
な声、
暗中
(
やみ
)
に
留南奇
(
とめき
)
がはっと立つ。
衣摺
(
きぬずれ
)
の音するすると、しばらくして、隔ての
襖
(
ふすま
)
に
密
(
そ
)
と手を掛けた、ひらめく稲妻、輝く
白金
(
プラチナ
)
、きらりと指環の小蛇を射る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瓶の
区劃
(
しきり
)
に
躓
(
つまず
)
いて倒れた手に、はっと
留南奇
(
とめき
)
して、ひやひやと、氷のごとく触ったのは、まさしく面影を、垂れた
腕
(
かいな
)
にのせながら土間を敷いて、長くそこまで
靡
(
なび
)
くのを認めた
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、縄目は見る目に忍びないから、
衣
(
きぬ
)
を掛けたこのまま、
留南奇
(
とめき
)
を
燻
(
た
)
く、絵で見た
伏籠
(
ふせご
)
を念じながら、もろ手を、ずかと袖裏へ。
驚破
(
すわ
)
、ほんのりと、暖い。
芬
(
ぶん
)
と薫った、石の肌の
軟
(
やわら
)
かさ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この編の記者は、教頭氏、君に因って、男性を形容するに、
留南奇
(
とめき
)
の薫
馥郁
(
ふくいく
)
としてと云う、創作的
文字
(
もんじ
)
をここに
挟
(
さしはさ
)
み得ることを感謝しよう。勿論、その
香
(
におい
)
の、二十世紀であるのは言うまでもない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肩に掛った
留南奇
(
とめき
)
の袖。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
留
常用漢字
小5
部首:⽥
10画
南
常用漢字
小2
部首:⼗
9画
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“留南”で始まる語句
留南木