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火氣
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くわき
彼はそれから
隣の
主人へ
挨拶に
出たが、
自分の
喉の
底で
物をいうて
逃げるやうに
歸つた。
彼は
其の
夜は三
人が
凍つた
空を
戴いて
燒趾の
火氣を
手頼りに
明かした。
それよ
今宵よりは
一時づゝの
仕事を
延ばして
此子が
爲の
收入を
多くせんと
仰せられしなりき、
火氣の
滿たる
室にて
頸やいたからん、
振あぐる
槌に
手首や
痛からん。
炭は
黒いが、
今しがた
繼いだばかりで、
尉にも
成らず、
火氣の
立ちぎは。
おつぎは
勘次が
煙草を
吸はないので
一寸煙草の
火をとることにまでは
心附かなかつた。
野田では
始終かん/\と
堅炭を
熾して
湯は
幾らでも
沸つて
夜でも
室内に
火氣の
去ることはないのである。