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滅法
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めっぽう
ふりがな文庫
“
滅法
(
めっぽう
)” の例文
喧嘩別れをして姉のところへ転げ込んだほどで愛嬌もあり人付きは
滅法
(
めっぽう
)
良い方ですが、何かしら評判のよくないところがありました。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それはもう
御隠居様
(
ごいんきょさま
)
。
滅法
(
めっぽう
)
名代
(
なだい
)
の
土平
(
どへい
)
でござんす。これ
程
(
ほど
)
のいい
声
(
こえ
)
は、
鉦
(
かね
)
と
太鼓
(
たいこ
)
で
探
(
さが
)
しても、
滅多
(
めった
)
にあるものではござんせぬ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
万平は
白粉
(
おしろい
)
の下から汗をブルブルと流した。ズッコケかかった昼夜帯を後ろ手で抱え上げ抱え上げ
滅法
(
めっぽう
)
矢鱈
(
やたら
)
にお辞儀を返した。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
黒い
疾風
(
しっぷう
)
が何かにぶつかりながら、
室
(
へや
)
を飛出し、闇の廊下をめくら
滅法
(
めっぽう
)
に走った。そのあとを追って、「逃げた、逃げた」という狼狽の叫声。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
じりじり見るんだから定めし手間が掛かるだろうと思ったら大間違い。じりじりには相違ない、どこまでも落ちついている。がそれで
滅法
(
めっぽう
)
早い。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「そいつが切り髪の女なのか?」「へい、さようでございます。
滅法
(
めっぽう
)
仇
(
あだ
)
っぽい
美
(
い
)
い女で、阪東しゅうかの弟子だそうです」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
どこの
溜
(
たま
)
り
場
(
ば
)
にもぐっていたのか、かれはクロを見るやいな、目の色かえて、めくら
滅法
(
めっぽう
)
に
試合場
(
しあいじょう
)
へおどりだし
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あまり転がったので眼がまわって、めくら
滅法
(
めっぽう
)
に逃げてるうち、ある橋のところへやってきて、道をあやまったものですから、あっというまに川の中へ落ち込みました。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
……あっしは十手をあずかってから、もう十年の上になりますが、まだ、おぼえもねえような
滅法
(
めっぽう
)
な話なので、いろいろ頭をひねってみましたが、かいもく見当がつきません。
顎十郎捕物帳:12 咸臨丸受取
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
何しろ
滅法
(
めっぽう
)
安値
(
やす
)
い家で、立派な
門構
(
もんがまえ
)
に、庭も広し、座敷も
七間
(
ななま
)
あって、それで家賃が
僅
(
わず
)
かに月三円五十銭というのだから、当時まだ
独身者
(
ひとりもの
)
の自分には、願ったり
適
(
かな
)
ったりだと喜んで
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
滅法
(
めっぽう
)
手先きが器用なんだよ、何でも世間じゃあ、変った彫りだといって、珍しがっているそうだが、彫り師の本体が、泥棒と知れた日にゃあ、大事にしてくれる者もあるまいが——それはそうと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
酔いの
循
(
まわ
)
った
夷顔
(
えびすがお
)
をてか/\させて、「えへゝゝゝ」と
相好
(
そうごう
)
を崩しながら、べら/\と奇警な冗談を止め度なく喋り出す時が彼の生命で、
滅法
(
めっぽう
)
嬉しくてたまらぬと云うように愛嬌のある瞳を光らせ
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
上の窓からはちきれそうな顔をして、乳房をぎゅっとつつんだ百姓女が覗いておれば、下の窓からは、仔牛が顔をのぞけたり、豚が
盲
(
めく
)
ら
滅法
(
めっぽう
)
に
鼻面
(
はなづら
)
だけ突きだしている。要するに陳腐な光景である。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
彼女
(
あれ
)
がヴァンダの
情婦
(
いろ
)
だぜ、
滅法
(
めっぽう
)
窶
(
やつ
)
れやがったな」
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
清「
滅法
(
めっぽう
)
寒くなったのう、相変らず酒か」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
笑うと八重歯が少し見えて、
滅法
(
めっぽう
)
可愛らしくなるくせに、真面目な顔をすると、
屹
(
きっ
)
とした凄味が抜身のように人に迫るたちの女でした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かようにして、鉄管迷路のめくら
滅法
(
めっぽう
)
な鬼ごっこがはじまった。逃げた、逃げた、汗びっしょりになって逃げまどった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
お願いですお願いですと
滅法
(
めっぽう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こ
)
ねて聴かないのには往生した。死刑囚にはよくソンナ無理な事を云って
駄々
(
だだ
)
を捏ねる者が居るそうだがね。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「安いものさ、
滅法
(
めっぽう
)
安い」チョロリと袖へ掻き込んだが、「オイ和泉屋、羽根が伸ばせるなあ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ついでだから一杯食って行こうと思って上がり込んだ。見ると看板ほどでもない。東京と
断
(
こと
)
わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、東京を知らないのか、金がないのか、
滅法
(
めっぽう
)
きたない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おお、
滅法
(
めっぽう
)
早う見えられましたな。さあ、これへ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「それじゃ今日の聞込みは俺の方が勝ちだ。石沢閑斎に娘が一人ある、お澪と言って、十八だが、これは
滅法
(
めっぽう
)
可愛らしい娘だ」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ほほう
滅法
(
めっぽう
)
穏
(
おとな
)
しいの。ところで女は部落者さ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「親分、こいつは変っているでしょう。とって十九の
滅法
(
めっぽう
)
綺麗な
新造
(
しんぞ
)
が仏様と心中したんだから、江戸
開府
(
けえふ
)
以来の騒ぎだ」
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その遠眼鏡の中へ、いきなり
滅法
(
めっぽう
)
綺麗な娘の顔が
映
(
うつ
)
ってとろけるようにニッコリしたとしたら、どんなもんです、親分」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
滅法
(
めっぽう
)
可愛らしい娘ですが、去年の暮から
囃
(
はや
)
し方の六助の世話で一座に、『一と眼千両』のお夢という太夫が入ったんです
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
滅法
(
めっぽう
)
暑かった年のことです。
八朔
(
はっさく
)
から急に涼しくなりましたが、それでも日中は汗ばむ日が多いくらい、町の銭湯なども昼湯の客などは滅多にありません。
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何の獲物もなく八丁堀まで引揚げた平次は(目黒川に若い女の死骸が浮いた、——若くて
滅法
(
めっぽう
)
綺麗な女だが、首を半分斬られて、
茣蓙
(
ござ
)
で包まれている——)
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
柳原
(
やなぎわら
)
の土手下、ちょうど
御郡代
(
おぐんだい
)
屋敷前の
滅法
(
めっぽう
)
淋しいところに
生首
(
なまくび
)
が一つ転がっておりました。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なるとも、大なりだよ、字が
滅法
(
めっぽう
)
うまいから、掛り合いの人間の書いたのをいちいち突き合せりゃ、半日経たないうちに
犯人
(
ほし
)
が挙がるよ、番頭さん、ちょいと見せてやろうか」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
力があって男が好くて、鬼に金棒で、姿は近ごろ
滅法
(
めっぽう
)
流行
(
はやり
)
の
伊達
(
だて
)
で、こいつばかりはうまくありません。——独り者ですとも、女出入りが多いからいまだに一人と言っても良いわけで
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お秀の片頬には、意地の悪そうな——そのくせ
滅法
(
めっぽう
)
魅力的な冷笑が浮ぶのでした。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「良い新造が、いきなり腰を抜かしたのをあっしも生れて初めて見ましたよ。——あれえ——とか何とか言って、ヘタヘタと泥の中に
横
(
よこ
)
っ
座
(
ずわ
)
りになった図なんてものは
滅法
(
めっぽう
)
色気があって——」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二十一二で、
滅法
(
めっぽう
)
良い
新造
(
しんぞ
)
で——」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
滅
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
法
常用漢字
小4
部首:⽔
8画
“滅法”で始まる語句
滅法界
滅法矢鱈
滅法無頼