みち)” の例文
旧字:滿
なかんでもえ、最早もう乃父おれも問わんから、サア奥へ帰るがえ、』とやさしく言ったその言葉は少ないが、慈愛にみちて居たのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さてなげいれたる小石、いかなる形なりともいつとなく人のまるめたるごとく円石まるきいしとなるも又奇妙ふしぎなり。されば社のえんの下に大小の円石まるいしみちみちたり。
看護当番として午後二時少しすぎたと思う時分に予は根岸庵に参った、今日はどんな様子か知らんと思う念が胸にみちているから、まず母堂や律様の挨拶あいさつ振りでも
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
最も清きもの最も愛すべきものには朝より夕まで、月みちてより月かくるまで、彼の視線は一小屋しょうおくの壁に限られ、聴くべきものとては彼の援助たすけを乞う痛めるものの声あるのみ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
と口は和らかにものいえども、胸にみちたる不快の念は、包むにあまりてに出でぬ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あじきなく暮らすうちみち産声うぶごえうるわしく玉のような女の子、たつと名づけられしはあの花漬はなづけ売りなりと、これも昔は伊勢いせ参宮の御利益ごりやくすいという事覚えられしらしき宿屋の親爺おやじが物語に珠運も木像ならず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
火気くわきみちたるしつにてくびやいたからん、ふりあぐるつちに手首や痛からん
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さてなげいれたる小石、いかなる形なりともいつとなく人のまるめたるごとく円石まるきいしとなるも又奇妙ふしぎなり。されば社のえんの下に大小の円石まるいしみちみちたり。
生気は天地に充ちみちて常に腐敗と分解とをとどめつつあるなり、医師ことごとく我を捨てなば我は医師の医師なる天地の造主つくりぬしに行かん、彼に人智の及ばざる治療法と薬品あるべし
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
と口はやわらかにものいへども、胸にみちたる不快の念は、包むにあまりてでぬ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
○かくていそぐほどに雪吹ふゞきます/\甚しく、かじき穿はくゆゑみちおそく日もすでくれなんとす。此時にいたりて焼飯を売たる農夫のうふはらへりつかれ、商人は焼飯にはらみち足をすゝめてゆく
○かくていそぐほどに雪吹ふゞきます/\甚しく、かじき穿はくゆゑみちおそく日もすでくれなんとす。此時にいたりて焼飯を売たる農夫のうふはらへりつかれ、商人は焼飯にはらみち足をすゝめてゆく