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海老茶
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えびちゃ
ふりがな文庫
“
海老茶
(
えびちゃ
)” の例文
小使が行ってみると、若い先生が指を動かしてしきりに音を立てているかたわらに、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
けたひで子は
笑顔
(
えがお
)
をふくんで立った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そんな園内を歩きながら、一人の、
庇髪
(
ひさしがみ
)
の、胸高に
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
をつけた、若い女の人が私の母に何やら話していた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「おい、君、もう一杯ここでやって行こう。」と、
海老茶
(
えびちゃ
)
色をした入口の
垂幕
(
たれまく
)
を、
無造作
(
むぞうさ
)
に開いてはいろうとした。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その全体の
服装
(
みなり
)
は、歌うがごとく燃ゆるがごとく、何ともいえない美しさだった。
葵
(
あおい
)
色の薄ものの長衣をつけ、
海老茶
(
えびちゃ
)
色の小さな役者靴をはいていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
女は
殊更
(
ことさら
)
肉を隠しがちであった。大抵は頭に
護謨製
(
ゴムせい
)
の
頭巾
(
ずきん
)
を
被
(
かぶ
)
って、
海老茶
(
えびちゃ
)
や
紺
(
こん
)
や
藍
(
あい
)
の色を波間に浮かしていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
黒ずんだ
海老茶
(
えびちゃ
)
にところどころ青い線の見えるどっしりとした窓かけがしてあったけれども、それは半分ほどしぼってあったので部屋のなかはよく見えた。
西班牙犬の家:(夢見心地になることの好きな人々の為めの短篇)
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
五六年前には、
式日
(
しきじつ
)
以外
(
いがい
)
女生の
袴
(
はかま
)
など滅多に見たこともなかったが、此頃では日々の登校にも
海老茶
(
えびちゃ
)
が大分
殖
(
ふ
)
えた。小学校に女教員が来て以来の現象である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
白き
鞭
(
むち
)
をもって示して曰く、変更の議
罷成
(
まかりな
)
らぬ、
御身等
(
おんみら
)
、我が
処女
(
むすめ
)
を何と思う、
海老茶
(
えびちゃ
)
ではないのだと。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
休憩椅子は
海老茶
(
えびちゃ
)
の
天鵞絨
(
ビロード
)
の肌をひろげて、
傍
(
そば
)
へ来る女の腰をしっかり受取ろうと用意していた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
かれた千世子殿が、風呂敷包みを抱えたままこの
方丈
(
ほうじょう
)
に這入って来られまして
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
海老茶
(
えびちゃ
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いて、大きな赤いリボンを頭の横っちょに結びつけて、そうして小さい手をしっかりと握り合って、振りながら、歌いながら、毎朝前の坂道を降りて行った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
元禄袖
(
げんろくそで
)
のセルに
海老茶
(
えびちゃ
)
のはかまをはき、一生懸命にゴムほおずきを口で鳴らしていた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
海老茶
(
えびちゃ
)
か黒の、つばのないソンコ帽をかぶったマレー人の男の子、水色のスカートに白地のうすいカパヤ(ブラウス)を着た女の子が、今は何事もなかったように街を歩いている。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
女学生風の
海老茶
(
えびちゃ
)
袴は、アア耐らない耐らないと身体を揉んで立ちあがると
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
海老茶
(
えびちゃ
)
も勢力に成ったね」と原は思出したように。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
海老茶
(
えびちゃ
)
とか
庇髪
(
ひさしがみ
)
とかに関係をつけると、あとではのっぴきならんことが起こって、身の破滅になることもある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
自分は暖かい
煖炉
(
ストーブ
)
と、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
繻子
(
しゅす
)
の
刺繍
(
ぬいとり
)
と、安楽椅子と、快活なK君の旅行談を予想して、勇んで、門を入って、階段を
駆
(
か
)
け
上
(
あが
)
るように
敲子
(
ノッカー
)
をとんとんと打った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「私から——ええ私から——私から誰かに上げます」と
寄木
(
よせき
)
の机に
凭
(
もた
)
せた
肘
(
ひじ
)
を
跳
(
は
)
ねて、すっくり立ち上がる。紺と、濃い黄と、
木賊
(
とくさ
)
と
海老茶
(
えびちゃ
)
の
棒縞
(
ぼうじま
)
が、棒のごとく
揃
(
そろ
)
って立ち上がる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勅語の箱を
卓
(
テーブル
)
の上に飾って、菊の花の白いのと黄いろいのとを
瓶
(
かめ
)
にさしてそのそばに置いた。女生徒の中にはメリンスの新しい晴れ衣を着て、
海老茶
(
えびちゃ
)
色の
袴
(
はかま
)
をはいたのもちらほら見えた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
家
(
うち
)
にいると、
海老茶
(
えびちゃ
)
の
繻子
(
しゅす
)
に花鳥の
刺繍
(
ぬいとり
)
のあるドレッシング・ガウンを着て、はなはだ愉快そうであった。これに反して自分は日本を出たままの着物がだいぶ
汚
(
よご
)
れて、
見共
(
みとも
)
ない始末であった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窓掛は
海老茶
(
えびちゃ
)
の毛織に浮出しの花模様を
埃
(
ほこり
)
のままに、二十日ほどは動いた事がないようである。色もだいぶ
褪
(
さ
)
めた。部屋と調和のない装飾も、過渡時代の日本には当然として立派に通用する。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
赤や、紫や、
海老茶
(
えびちゃ
)
の色が往来へちらばる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
海
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
茶
常用漢字
小2
部首:⾋
9画
“海老茶”で始まる語句
海老茶色
海老茶袴
海老茶式部