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でいすい
ふりがな文庫
“
泥酔
(
でいすい
)” の例文
旧字:
泥醉
この晩庄吉は
泥酔
(
でいすい
)
したのが失敗のもとで、夢遊歩行に
倅
(
せがれ
)
の寝床を乗りこえ女房のバリケードをのりこえて女学生めがけて進撃に及ぶ。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
意気込んで応じるのは、馬鹿のあわて者です。飲酒の作法は、むずかしい。
泥酔
(
でいすい
)
して、へどを吐くは禁物。すべての人に
侮
(
あなど
)
られる。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
クリストフは身動きもせず、耳をふさいで、メルキオルの
泥酔
(
でいすい
)
した声や、近所の人たちの
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的な言葉を聞くまいとした……。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それ
故
(
ゆえ
)
に、
結局
(
けっきょく
)
へとへとになって、
揚句
(
あげく
)
は
酒場
(
さかば
)
で
泥酔
(
でいすい
)
し、わずかに
鬱
(
うつ
)
を
晴
(
は
)
らしたのです。
彼
(
かれ
)
は、
芸術
(
げいじゅつ
)
を
商品
(
しょうひん
)
に
堕落
(
だらく
)
さしたやからをも
憤
(
いきどお
)
りました。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ま、まったく持ちまして、さいぜんのことは
泥酔
(
でいすい
)
のあまりでござる。どうぞ、ひらにひらに、おゆるしのほどを……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
引き摺られながら、先刻から茫然として居った彦太郎は、次第に棄鉢な気持になりはじめ、今夜は無茶苦茶に飲んでぐでぐでに
泥酔
(
でいすい
)
したいと思った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
家へ帰れないときは、というのはあまり
泥酔
(
でいすい
)
したということであるが、源太は消防ポンプ小屋へもぐり込んで寝た。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
混乱した感情の狂いに
泥酔
(
でいすい
)
して、事務長の
部屋
(
へや
)
から足もとも定まらずに自分の船室に
戻
(
もど
)
って来たが、精も根も尽き果ててそのままソファの上にぶっ倒れた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
泥酔
(
でいすい
)
して峠の道を踏んだ時、よろめいて一間ほど
崖
(
がけ
)
を滑り落ちた。
瞼
(
まぶた
)
が切れて、血が随分流れた。
窪地
(
くぼち
)
に仰向きになったまま、
凄
(
すさ
)
まじい程
冴
(
さ
)
えた月のいろを見た。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
泥酔
(
でいすい
)
していても、新しい酒が腹にはいると、やはりいくらか活気がもどってくるらしかった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
妻ハ人事不省デ先夜以上ニ
泥酔
(
でいすい
)
シテイルヨウニ見エタガ、ソノ見セカケニモカカワラズ、昨夜ハ特ニ明瞭ニ、ソレガ彼女ノ芝居デアルヿ、実際ニハ意識ヲ持ッテイルノデアルヿガ
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
街の悪童の
漫罵
(
まんば
)
の中に、
泥酔
(
でいすい
)
した父親を背負って帰る屈辱感が、ベートーヴェンの負けじ魂を一層
頑
(
かたくな
)
なものにし、
荊
(
いばら
)
の道を渋面作って踏み破る最初のスタートになったのであろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
泥酔
(
でいすい
)
した
翌
(
あく
)
る日いちにち、僕は
狐
(
きつね
)
か
狸
(
たぬき
)
にでも化かされたようなぼんやりした気持ちであった。青扇は、どうしても普通でない。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
泥酔
(
でいすい
)
して一升ビンをぶらさげて酒ビンと一緒に墜落した
由
(
よし
)
で、この話をきいた時は私の方が心細くなったものだ。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
頭がたえず働いて、
泥酔
(
でいすい
)
から起こるいろんな悲しい出来事をあれこれと想像してやまなかったのである。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
泥酔
(
でいすい
)
したほかの侍たちも、こいつはいいなぶりものだという顔をして、そこを取りまく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は関田町の家で、夫や敏子のいない所であの人に会ってはいるけれども、いつも最も肝要な瞬間、———
肌
(
はだ
)
と肌とを
擦
(
す
)
り着けて相抱き合う時になると、たわいなく
泥酔
(
でいすい
)
してしまうのである。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はそのひとのお嬢さんにつまらぬ物をお土産として持って行って、そうして、
泥酔
(
でいすい
)
するまで飲んで来るのである。
メリイクリスマス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は恐怖のあまり氷のようになった。父の胸に息づまるほど抱きしめられ、酒臭い息や
泥酔
(
でいすい
)
の
噯気
(
おくび
)
を顔に感じ、気味悪い涙や接吻に
濡
(
ぬ
)
らされて、
嫌悪
(
けんお
)
と恐怖とに
悶
(
もだ
)
えていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私はこの女を連れて落ちるところまで
堕
(
お
)
ちてやろうと思った。私は落付いて飲みはじめた。女は飲まなかった。私は朝食前であったから、酔が全身にまわったが、
泥酔
(
でいすい
)
はしていなかった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それに何よりも
泥酔
(
でいすい
)
する程に酒を飲まぬのが、決定的にこの男を上品な紳士の部類に編入させているのであります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ほとんど毎夜のように、酔っ払ってもどって来、
稼
(
かせ
)
いだものを少しももち帰らなかった。それに
稽古
(
けいこ
)
口もおおかた失っていた。ある時、まったく
泥酔
(
でいすい
)
の姿をある女弟子の家に現わした。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
泥酔
(
でいすい
)
の極に達し、一夜に医療費を飲みあげて意気高らかに家に帰り、あの
怖
(
おそ
)
るべき寝床に怖れ気もなくひっくり返り、電燈などが何じゃイと此奴もパチンと消してしまって悠々と眠り、目が覚めると
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
年少の友人ふたりを相手に
泥酔
(
でいすい
)
していて、ふとその女のひとに話しかけ、私たちの席に参加してもらって、私はそのひとと握手をした、それだけの附合いしか無かったのであるが
父
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
笠井氏は既に
泥酔
(
でいすい
)
に近く、あたりかまわず大声を張りあげて
喚
(
わめ
)
き散らすので、他の酔客たちも興が覚めた顔つきで、
頬杖
(
ほおづえ
)
なんかつきながら、ぼんやり笠井氏の蛮声に耳を傾けていました。
女類
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今夜これから、ことしの諸払いの算用を、ざっとやって見ましょう、と大福帳やら
算盤
(
そろばん
)
を押しつければ、亭主は眼をしぶくあけて、
泥酔
(
でいすい
)
の夢にも債鬼に苦しめられ、いまふっと眼がさめると
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“泥酔”の意味
《名詞》
泥酔(でいすい)
正体を失くすほど飲酒して酔っぱらうこと。
(出典:Wiktionary)
泥
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
酔
常用漢字
中学
部首:⾣
11画
“泥酔”で始まる語句
泥酔漢
泥酔者
泥酔人
泥酔夢
泥酔男