気味きび)” の例文
旧字:氣味
そらきた、と先生急に糸をたぐり始めるから、何かかかったと思ったら何にもかからない、がなくなってたばかりだ。いい気味きびだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天井を仰向あおむいて視ると、彼方此方あちこちの雨漏りのぼかしたようなしみが化物めいた模様になって浮出していて、何だか気味きびの悪いような部屋だ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
きたないものみたいにして、気味きびのわるいものみたいにして、一口も食べてくれないとは、あまり、あんまり、ひどいじゃないか。(泣き声になる)
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「今日までは幽霊だとか何だとか、わしも気味きび悪かったでやすが、旦那様がおいでになって、もうなんともねえでがすから、早速そうするでがす……」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
「もう家が分ったんだから、気味きびの悪いことを言わずに気を落ちつけ給え。氷でっと頭を冷しちゃ何うだい?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
なあにあの婆さんが唯怖ただこはいのぢやありませんよ。それは気味きびは悪うございますけれどもさ、怖いより、気味が悪いより、何と無くすごくてたまらないのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
このときなみだはらはらといてた。地面ぢめんせ、気味きびわるくちびるではあるが、つちうへ接吻せつぷんして大声おほごゑさけんだ。
何を云うかわからん、気味きびの悪いところがこの男のネウチで、くわ煙管ぎせるのまま私のてのひらを見ておりましたが
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……といったって誰もかばい手はない、ざまァみろ、いゝ気味きびだ、みんなそれも心がらだ……
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
神楽かぐらだけのことはありしも気味きびよし、それよりは江戸で一二といわるる大寺の脆く倒れたも仔細こそあれ、実は檀徒だんとから多分の寄附金集めながら役僧の私曲わたくし、受負師の手品
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
甚「気味きびの悪い奴が飛込んで来たな、薄気味うすきびの悪い、鎌を手前てめえが持って居るからわりいのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やあい、やあい、いい気味きびだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
気味きびが悪いわね……」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
... さすがの僕もその時ばかりははっと息の穴がふさがったかと思ったよ」「もう御やめになさいよ。気味きびの悪るい」と細君しきりにこわがっている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(睦子の手から線香花火を取っていじりながら)冬の花火なんて、何だか気味きびが悪いわねえ。さっき睦子が持っているのをちらと見た時、なぜだか、ぎょっとしたわよ。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ナメラというのは小さい鰒で、全身ごたいが真黒でヌラッとした見るからに気味きびの悪い恰好をしておりますが大抵の鰒好ふくくいが『鰒は洗いよう一つで中毒あたらん。しかしナメラだけはそう行かん』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「大方そんな見当だろうと思っていた。掘り出しものだと言って頻りにくれるが、考えて見ると、私は然う/\唯で貰ういわれがないから、少し気味きびが悪くなった。ところで昨夜のことさ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
御神楽だけの事はありしも気味きびよし、それよりは江戸で一二といはるゝ大寺の脆く倒れたも仔細こそあれ、実は檀徒から多分の寄附金集めながら役僧の私曲わたくし、受負師の手品、そこにはそこの有りし由
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
甚「気味きびの悪い事ばかり云やアがって、んで」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
野だが山嵐を見て天麩羅てんぷらと云って目くばせをしたが山嵐は取り合わなかった。いい気味きびだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちに大惣がクタビレて来たらしく、気味きびの悪いくらい静かになって来た。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と父親がもう承諾していたのには、新太郎君、少し気味きびが悪かった。しかしお許しの出た上は御意ぎょいの変らない中にと、早速店の方を休むことにして、逗子ずしの避暑宿へ問合せの手紙を出した。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しんそこから、あたしという女を軽蔑けいべつし、薄きたない気味きびの悪いものに思うにきまっていますよ。あたしは、うっかり、自分の貧乏を口にすることも出来やしない。あなたたちは違うのよ。
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
安「エヽ出ましたか、気味きびの悪い」
椀底わんていの様子を熟視すればするほど気味きびが悪くなって、食うのが厭になったのである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と私は少し気味きびが悪くなった。チブスも種類に依っては毒素が脳を侵すという。その結果自分の頭は硝子で出来ているなぞと言い出して周囲のものに好い苦労をかけるのがあると聞いている。
閣下 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今朝見た通りの餅が、今朝見た通りの色で椀の底に膠着こうちゃくしている。白状するが餅というものは今まで一ぺんも口に入れた事がない。見るとうまそうにもあるし、また少しは気味きびがわるくもある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「チブスか? 此奴も気味きびが悪い。そうしてやっ張り御一緒だろう?」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「なぜって、気味きびが悪くっていてもってもいられませんもの」
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
気味きびが悪いね。ああ、地震がなくてくれれば宜い」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「好い気味きびですわ、悪口ばかり仰有るから」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「君からそう言われると気味きびが悪いよ」
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と田鶴子さんは気味きび悪がった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私は好い気味きびだと思った。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「まあ、気味きびの悪いこと」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
気味きびが悪いな」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
気味きびよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)