本阿弥ほんあみ)” の例文
旧字:本阿彌
本阿弥ほんあみ光悦どののお紹介ひきあわせで、私もいちど、柳町の扇屋でお目にかかりましたが、公卿くげにも似あわぬ、快活な御気性と見うけました」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「申し上げまする、これは則重ではござりませぬ、数年前、本阿弥ほんあみ様が主人の家へお立寄りになりました時分の御鑑定によりますれば……」
書画掛物には箱書があるし、刀剣にも本阿弥ほんあみの折紙がなければ筋はとおらない理屈だ、……すべてそれ相当の由緒書がある
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
美術工芸の名工を京都烏丸からすまに集めたので、京都は美術工芸の中心地となり、本阿弥ほんあみ光悦とか野村宗達などの優れた工芸家があらはれ、桃山風の華美な工芸品を作つた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
本阿弥ほんあみ鑑定めききで、偽と知れたのはツイ近頃、——その前に万一の時の事を五兵衛に相談すると、佩刀を盗まれた落度から偽物と掏り換えの罪は、みんな五兵衛が自分で引受けるから
これから、聯合組に行くとこじゃが、こないだ買うた刀を二本、出してみんな? 本阿弥ほんあみ直弟子じきでしの、大層上手な鑑定家が来とるそうな。おれも、助広をて貰おうかと思うちょる。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「おだてるなよ。しかし直江志津というと折紙でも附いているのかい本阿弥ほんあみさん」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
本阿弥ほんあみ折紙をりかみ古今ここんに変ず。羅曼ロマン派起つてシエクスピイアの名、四海に轟く事迅雷じんらいの如く、羅曼派亡んでユウゴオの作、八方にすたるる事霜葉さうえふに似たり。茫々たる流転るてんさう。目前は泡沫、身後しんごは夢幻。
天晴あっぱれ御鑑定、本阿弥ほんあみでいらっしゃる。」と急須子きびしょをあける。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
京の本阿弥ほんあみ光悦の長屋にいるということが分ってからでも、約半年もかかって、ようやく、まとまったことなのであった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうしてうちにいないんです」と助三郎は陽気に云った、「今日はおやじといっしょに本阿弥ほんあみがいったんですよ」
末っ子 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
本阿弥ほんあみ鑑定めききで偽物と解り、石川様へ厳重なお達しがあったのだそうでございます
本阿弥ほんあみだの、徒目付かちめつけだの、石出帯刀いわでたてわきだのという連中が来てズラリと並び、斬り手の朝右衛門は手代てがわり弟子らと共に麻裃あさがみしもでやって来て、土壇どだんの上や試しの方式にはなかなかの故実を踏んでやることを
「実相院町の東の辻——俗にあの辺で本阿弥ほんあみの辻とも呼んでおりますが、そこの本阿弥光悦こうえつの家の奥に、たしかに武蔵が逗留とうりゅうしておる様子なので」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「有難い。——そいつは俺の畠だ。何を隠そう本阿弥ほんあみの勇とは俺のことなんだ」
笑う悪魔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
どこかへ出た戻りらしい妙秀尼みょうしゅうにに、こう呼びとめられて、そこが本阿弥ほんあみの辻の近所だったということも、後から初めて気がついたほどなのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
投げた——とね、本阿弥ほんあみが夫婦づれで来ても、この鑑定に間違いはあるめえ
ここの板看板に本阿弥ほんあみ門流としてあったので、京出きょうで研師とぎしに違いないと思うと同時に、恐らく本阿弥家の職方しょくかた長屋の一門下であろうとも考えられ
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本阿弥ほんあみ光悦の家で見た梁楷りょうかい栗鼠りすに落栗の図を——その粗朴なうちに持つ王者の気品と、墨の深さを、いつまでも忘れなかったりしたこともある。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれが、師匠の清麿について、本阿弥ほんあみの招きで、両国の万八楼へ行った帰り途に、破門をくう、わざわいがあったらしい。
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おまえを破門したのは、本阿弥ほんあみ様の会の帰りに、お父様が悪酔して、お金を失くしたあの疑いからだったが……」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸国から銘刀をあつめさせたことがあるが、その時、鑑刀家の本阿弥ほんあみに命じて選ばせた逸品の中、第一に位する絶品が、この「武蔵正宗」であったという。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——ですが明日あしたの朝はもう立とうと存じます。武蔵どのにお会いになったら、どうぞまいちど、京の本阿弥ほんあみの辻へ立ち寄ってくださるようお伝えおきを」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光悦といえば、今、京都の本阿弥ほんあみの辻には、天下に聞えわたっている同じ名の人間が住んでいる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸へつくと、百は、場末の木賃宿きちんに泊りこんで、あくる日から、小柄の売口をさがしあるいた。——といっても、破門された体なので、刀屋や本阿弥ほんあみすじへは、向けられない。
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本阿弥ほんあみきわめつき、堀川国広ほりかわくにひろ脇差わきざし目貫めぬき白魚しらうお蛇籠じゃかご、うぶご磨上すりあげなし! ……」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出入の骨董屋こっとうやが、本阿弥ほんあみの手紙を添えて置いて行った周文の軸をひろげて、その画面へ、虫でも覗くように、眼鏡をかけてかがみこんでいた吉良上野介は、鍋鶴の羽音に、顔を上げて、不機嫌なしわ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わたくしは京の本阿弥ほんあみの辻に住む光悦という者。また、これは母の妙秀みょうしゅうでして、武蔵どのとは六、七年前に、ふとお親しくしていただいたこともあり、何かにつけ、日頃、おうわさ申し上げているものですから」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本阿弥ほんあみの辻で斬られるのを見て来た……)
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうそう、あなたに会ったらこうと思っていたことですが、本阿弥ほんあみ光悦が鷹ヶ峰へ移る前に住んでいた家のあったという本阿弥の辻というのは一体どこですか、何という町にあるのですか、今でもその名称が残っているのでしょうか」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本阿弥ほんあみ門流厨子野ずしの耕介
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)